レッド★ライン
4
低く凄んでくる声音を全く意にかいさず、軽く受け流したユーリは「用がなけりゃ話しかけねぇって」と囲まれている女の子を見やる。
そうして男達に、
「嫌がってんぜ」
と短く簡潔に言う。
何が?と言われなくても分かるその言葉に男達はカッとなったのか、いきなりユーリに殴りかかってきた。
それをヒラリと交わす。
男達がユーリに殴りかかった隙をついて女の子が脱兎の如くその場を逃げ出した。
声をかける暇もなく、女の子のシルエットはどんどん遠くなり街の雑踏に消えてしまった。
残されたのはユーリと三人の男達。
女の子に逃げられた腹いせか睨む目が異様にギラついている。
まともに相手にするのは少々厄介だと判断したユーリは、とっととその場を後にしようとしたが……………出来なかった。
グシャ。
何かが潰れた音。
見てみれば手に入れたばかりのあのケーキが男の足元に。
箱は見事にぺしゃんこで、中身のケーキも生クリームがはみ出て苺も潰れてしまっていた。
もう食べれない―――。
ブチィイイイッ!!!!
気付けばユーリは近くにいた男―ケーキを踏んでいる―の横っ面に回し蹴りをくらわしていた。
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