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機械仕掛けの恋。



 最近、よく似たニュースを見掛けるようになった。内容はそれぞれ違うけれど、結果的には似通ったものばかりで。
 それら全てのニュースのキーワードは<アンドロイド〉だった。
 今も展示されている何台ものデジタルテレビから一つのニュースが流れている。
 要は足を止めて画面に目を向けた。

「最近になってアンドロイドの不具合が頻繁に起きています。昨日未明にも20代後半の男性が使用しているアンドロイドに突然襲い掛かられ、頭を激しく強打し意識不明の重体とのことです。なお男性を襲ったアンドロイドは、警察関係者が駆けつけた時には動力が落ち動かなくなっていたようですが、原因究明のため研究所に回し原因を究明していくそうです。事態を重く見た国家政府は…」

 これでアンドロイドが人間を襲ったのは4件目になる。
 要は食い入るように見ていた画面から視線をはずし、雑踏の中をまた歩き出していく。手にはスーパーの袋が二つ。
 日用品や食材を買いにきた出先で、アンドロイドが関わったニュースを見るなんて思いもよらなかった。

 アンドロイドが普及し始めて十数年が経った今、人間社会において彼らは必要不可欠な存在にまでなっていた。
 街に出れば人間とアンドロイドが家族のように、また友達や恋人のように連れ立って歩いているのをよく目にする。
 だからだろうか、ニュースであるように例えアンドロイドに不具合が発生したとしても、人間はそう易々とそれを手離せなくなっていた。
 アンドロイド検査は無料だが修理となると無料ではないし、故障でした、なんてことになり手離せば日常生活に支障が出てしまう。いまさらアンドロイドのいない生活なんて考えられない。
 良くも悪くもアンドロイドはそれほど人間社会に深く浸透してしまっていた。

 要にしても他人事ではない。
 もとからアンドロイドを持つ気のなかった要だが、一ヶ月前にユアンを拾った身だ。
 それにアンドロイドにしてはイレギュラーとでもいうべきユアンは、製造番号と名前が拾った時からなかった。だから、検査を受けさせようにも受けさせられない。
 初めてアンドロイドが人間を襲ったニュースを見た時、要はユアンが真っ先に心配になった。一般のアンドロイドとはどこか違って見えるユアン。
 もしかすると壊れているのでは、と要が心配して疑うのも仕方ない話だった。




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あきゅろす。
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