機械仕掛けの恋。
5
その日、寝たり起きたりを繰り返し要の熱は徐々にだが下がっていった。
そうして目を覚ました頃、横を向くとユアンのしかめっ面が目に入った。
ああ心配しているのかなーとぼんやり思っていたら、額に冷たい感触がして「まだ寝ていろ」と短く言う。
ユアンこそ寝たらどう?と言おうとしたけれど、声が掠れていて言葉にはならず空気が震えるだけだった。
風邪で喉が腫れているんだろう。それにユアンはアンドロイドだから眠らなくても大丈夫なのかもしれないと思い直した。
そういえば今は一体何時だ?
聞いとけば良かったな。
とりとめのない事を考えているうちに要はまた眠りの淵に落ちていった。
次に要が目を覚ました時、視界は真っ暗だった。それに、ユアンはいないのか部屋の中は静まりかえっている。
ムクリと上半身を起こし軽く伸びをした。ぐっすり眠ったおかげなのか身体のダルさはすっかりなくなっていて、少しだけ喉のあたりが痛むくらいだった。
おぼつかない足取りで部屋を出たところで「要」と低い声が要を呼び止める。この家で要と呼ぶのは一人しかいなくて、目を向けるとやっぱりユアンがいた。
見ると手にはお盆を持っていて、そこには出来たばかりのお粥が白い湯気をたてている。それを見たとたんにたちまち空腹感がおそってきて、要はぐ〜っと間抜けな腹の音を鳴らしてしまうことになった。
「仕方ないだろ・・なんにも食べてないんだから」
肩を震わせてクツクツと笑うユアンに要はぶすっとしたように言う。
そう仕方ないのだ、今が何時かは分からないけれど朝から何も胃に入れてないのだから。
「まあ、食べれるくらい元気になったということか。それでもまだ寝ていた方がいい、足がふらついている」
「う〜・・・寝るの飽きたよ」
誰かに心配されるのがくすぐったくて、わざと不機嫌な口調で返してしまう。
でもそんなことはお見通しなのか、ユアンは要の頭をぽんぽんとするだけで何も言わずに要の部屋へと入って行った。
要もまたユアンの後を追うように出たばかりの部屋へと戻った。
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