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機械仕掛けの恋。



 要はユアンに向かって大声で怒鳴った。
 何よりユアンに、少しでも気に入らないことをすれば、サッサと棄てるような人間と思われていることが腹立たしくてならない。


 だがユアンはというと一瞬、目を見開いたかと思うと次にはクスクスと笑い出していた。

 なにがおかしいのだ。肩をふるわせてまで笑うその姿に要はたまらず「ユアン!」とまた声を荒げて睨み付ける。
 そうして要の怒りが爆発しそうなのを察したのか、ユアンは取り繕ったように「いや…ははは。なんでもない」と言った。


「…ユアンって本当アンドロイドなのかと疑うよ」
「ならば皮膚を剥いで見せようか?」

 事も無げに言って、そのまま指を左腕の皮膚に食い込ませた。容赦なく突き付けられる爪が左腕にめり込んでいくのを見て、要は血の気が引くくらいに慌てユアンの右手を掴んだ。

 な、なんてことするんだ?!

「ああもう。ば、ばかユアン!そんなことしろなんて言ってない!」
「だが…「いいんだ!」

 いまだに何か言いたげなユアンを視線で黙らせ、要は左腕に目を向ける。そこには皮膚に爪が食い込んだせいで痕が残っていたけれど、そんなに気にするものではなかった。

 傍目から見ていた要にしてみれば、ユアンがそのまま皮膚を剥いでしまうのではないかと本気で焦ったのだ。
 アンドロイドの力ならばセラミックで出来た皮膚だって、いとも簡単に裂けてしまう。

 そうして軽い気持ちでユアンに嫌味を言ったことを要は後悔していた。だからなのか、先ほどのユアンとの言い合いなど頭の中からぶっ飛んでしまっていた。

「俺はユアンを絶対に棄てたりなんかしない。嘘じゃないよ。だからユアンも冗談でも棄てるのか?とか言うな。―――それから…痛くなくても無闇に身体を傷付けるのはよくない」

 要はユアンの左腕を軽く擦って視線を向けずに一気に最後まで言った。


 もしこの時、要が視線を一度でもユアンに向けていたなら、きっと目を見開くくらい驚いていたことだろう。



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あきゅろす。
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