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機械仕掛けの恋。



「なっ…にすんだよ!」
「何を怒っているんだ?唇の端にクリームがついてたからとっただけだ」
「やり方が問題なんだって!」
「やり方?舌で舐めとる方が指よりも効率がいい。だから実行したまでだ…全く問題ない」

 要の言うことが分かっているのか、それとも分かっていて敢えて分からない振りをしているのか、ユアンはしれっと言う。

「とにかく!今度からするなよ絶対だからな」
「…時と場合による」
「どんな場合だよッ!」
「例えば…お前を抱き締めたくなった時、だな」


 低音の声が囁くように「そうしてここを貪り尽くすのも面白いかもしれないな」言って耳の鼓膜を揺さぶり、親指の腹が要の唇をやんわりと擦った。

 一瞬にして空気がひどく淫靡なものに変わる。

 性的なことに慣れていない要はユアンのされるがままで、指一本動かせない。もし動いていたなら蹴りの一つでも見舞っていたとこだろう。

「なんて顔をしている。本当にされるとでも思ったか?こんなのはただの言葉遊びだ。お前がこのままして欲しいなら別だが…その時は嫌って程よがらせてやる」
「最悪なアンドロイドだな!」

 腕を振りほどき、睨むようにユアンを見上げる。整った顔は無表情で覆われており、何を考えているのか要には分からない。
 そもそもアンドロイドに人間的表情なんてものもないのだが。
 全て作り物だ。
 全て人間が設定した物なんだ。

「ならば…棄てるか?」

 今までで一番無機質な声音だった。そうしてユアンの言葉に頭が真っ白になる。

 感情のこもらない声は、なんて冷たいのだろう。まるで刃だ。
 なんだろう、ユアンがどうしてこんなことを言うのか分からない。でもこれだけは要にも分かっていた。

「ユアンは馬鹿だ!大馬鹿だ!」



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あきゅろす。
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