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機械仕掛けの恋。



 すると、先ほどまでピクリとも動かなかった人間?アンドロイド?がじーっと要を見つめていたのだった。

 重なる視線。

 どうして動いているのか考えるまえに、至近距離で見る男の顔に要は目を奪われていた。

 硝子玉みたいな蒼い瞳に額にかかる青みがかった黒髪。
 瞳は切れ長で鼻筋はスッとしており、薄い唇はいまは固く閉じられている。

 ああこの恐ろしく整った顔を持つ男は、やはりアンドロイドなんじゃないだろうか―――。
 アンドロイドは総じて美男美女で皆モデル並みの容姿を持っているのだ。

 普通に羨ましいと思う。

(にしても…掴まれた手首が痛い!一体どんだけの力で掴んでんだよッ)

 要はじーっと見ている男に『離してくれ』という意味を込めて視線を向けるが、男は首を傾げるだけで要が何を言いたいのか伝わっていないようだ。

 そしてますます強く握ってくる手。
 もう無理。限界だ…!!

「ちょっ!痛い痛い!!手ぇ離してくれッ」

 年甲斐もなく痛いと言う要を見たら、斎など腹を抱えて笑うに違いない。
 でも痛みの前ではそんなもの取るに足らない、と要は開き直っていた。
 兎に角、だ。手を離して貰いたい。きっと痣になってる!!

「ひ弱な腕だ…」

 ボソリと一言。

 離された腕はやはり赤く痣になっていたけれど、何より男の台詞には問題あるだろう。

「なっ?!!誰がひ弱だッ!」
「お前だ」
「アンドロイドのくせに…」

 要は思わずそう口走っていた。
 しまったと思ったけれど、一度言ってしまった言葉は取り消せない。

「―――それがなんだ。アンドロイドだからって人間に媚びなきゃならんのか?馬鹿馬鹿しい」

 フンッとそう言って立ち上がった男は、要よりも長身で180くらいありそうだ。
 そうすると160くらいしかない要は、自然と見上げるしかない。

「なんかアンドロイドらしくないね…」
「では、アンドロイドらしいとはなんだ?」

 男の言葉に目を見開く。そんなこと要は考えたこともなかった。
 まるで人間みたいな事を言う男が本当にアンドロイドなのか、要は疑ってしまいそうだった。

 だってユウとランはいつもニコニコとしていて、男のように眉間に皺をよせたような顔はしなかった。

「それより…ッ」

 男がそう言った途端、いきなり長身の体躯がみるみる要に迫ってきた。
 何が起こったのかも分からぬまま、気付いたら地面に倒れ込んでいた。

 強かに打ち付けた腰が痛い。
 痛みを堪えて要はゆさゆさと男の体躯を揺さぶってみるも、全く反応がない。

(おいおい一体どうしろっていうんだよーーーーッ!!)



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あきゅろす。
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