機械仕掛けの恋。 2 家庭に一体アンドロイドが当たり前の世界。 日常のあらゆる場面でアンドロイドは使われていた。 例えば、朝昼晩の食事。主婦もびっくりなくらいカロリー計算され、味も一流レストラン並みときている。 他にも家事・掃除・子守り等なんでもござれなアンドロイド。 人間はいつしかアンドロイドなしの生活は送れなくなった。 呼べばすぐに来る、何を頼んでも文句を言わずにしてくれるなんて理想的だろう。 東風 要(こち かなめ)16歳。成績は中の下ととりわけ目立ったところのない学生だ。 両親は要が6歳の頃に死別。以来一人きりで生きてきた。 アンドロイドがあるだろう?と人は言うけれど、アンドロイドもタダではない。要一人が生きていくだけでも大変なのに、アンドロイドのことまで考えられる筈もなく…。 学業・家事にバイトと要の1日は忙しい。 両親が要の為に残してくれたお金がどれだけあるのか分からないが、自分で生活出来る間は使わないと決めていた。 ザアザア降る雨の中、傘をさしながら要は走って学校に向かう。 朝寝坊してしまったので走らなければ間に合わない。 足下では水が跳ね、靴もズボンの裾もびしょ濡れだったが気にしている暇はなかった。 (ああもう!なんで今日に限って朝寝坊しちゃうんだよ!!) 内心ぶちぶちと文句を言いながも走った甲斐あって、始業ベルが鳴る前に要は学校に着いた。 休む間もなくゼイゼイと息をしながら、下駄箱に靴を放り込むように投げるとまた走って教室に向かう。 廊下は静かに歩きましょう。なんてポスターはこんなときばかりは無視だ。遅刻一回と生徒指導どちらをとる方がいいかなんて決まってる。 始業ベルが鳴るギリギリに教室の扉を開けて、要は席につく。 ここでやっと一呼吸。 「なんだ要ちゃん。朝寝坊でもしちゃったの?」 隣の席の女の子が話しかけてくるが、要は頷くだけで机に突っ伏した。 朝寝坊しただけあっていまだに要の中で睡魔が居座っているようだ。 この分だとまともに午前の授業を受けられないな、と考えたところで要の思考はストップした。 [*BACK][NEXT#] |