夕焼けこやけ
河原に行けば、あいつが現れた。
それは絶対じゃなくて、たまにとも言えない頻度。3回に2回は来ていると思う。
芝生に横になるといろんなものが見えた。
沈んでいく太陽と変わる空、それを映す水と面を飛ぶ生き物。地球がとか世界がとか、そんなスケールの話はわからないけど、俺のまわりは確実に明日に進んでいて、それをただひたすら感じることができる。
俺のすぐ近くに座らない三橋の優しさが目に滲みて、心まで滲みればいいと三橋を呼んだ。明日もここにいるかなんて、そんなの答えはイエスに決まっているのに、三橋が来る度に聞いてしまうのは自分が弱いからだろうか。
儚さを増す大きな太陽を、目を少しだけ開けて見てみたけど、なにも変わらなかった。頬にあたる芝生がそよそよと揺れる。
「…あべくんが、くるなら」
絞り出すようにそう呟く三橋も、俺が三橋を求めるように俺を想ってくれていたら。
暮れていく夕日に照らされたトンボが遠くに飛んでいくのを眺めながら、三橋が隣にいる暖かさに頬を緩めた。
三橋が生きる明日なら、俺も生きてみたい
[阿部×三橋]
瑞稀.
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以前拍手に置いていた小説を加筆修正、というか阿部視点で書き直しました。
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