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山獄novel
片思い strawberry
届きそうで届かない…

そんなことが一番辛いと思う…

俺はあいつが好きだけど…

あいつにはきっと届かない…







始めはただ仲の良い親友としか
思ってなかったのに会えば会う程
獄寺の事が気になって…

あいつが喧嘩すれば心配するし…
相手に怒りを覚える。

あいつが悲しんでたら悲しいし、
あいつが喜んでたら俺も嬉しい。

いつからだろう…

こんな感情を獄寺に抱くようになったのは…

ひとつ言えるのは、
獄寺が好きって事。

*************

キンコーンカンコーン




この日はバレンタイン前日なのを俺はすっかりわすれていた。

「あーやっと数学終わったぁー!!」

「ははっツナ数学嫌いだもんな。まっ俺もだけどっ」

ツナとそんな会話を交わして次の授業の準備をする。
今3時限目が終わったから、獄寺は
次の昼休みのために戻ってくるはず…

がらっ!!

獄寺がこっちにむかって歩いてくる。 
獄寺と俺とツナは席が近いていうか
前から獄寺、俺、ツナって並びで窓際の後ろだからすげー良い席だし、
同じ班。
だからそれを聞いたとき心の中でガッツポーズをした。

「十代目!!ただいま戻りました!!っていうか野球馬鹿!なんでてめぇが十代目の前なんだ!!」

「ははっだってくじだろ?しょうがねぇじゃん?」

いつもいつもツナツナって…
いくら尊敬してるからと言ったって…
俺もまだまだ子供なんだな…

「十代目…か」

「やっ山本!?」

ツナの声で我に帰る。
あぁ聞こえてたのか…
なんでもないと笑って前を向く。
チャイムがなって授業が始まる。
正直内容なんて最近頭に入ってこない。
人を好きになるとこんな気持ちになるなんてとっくに気付いてた。

「おい!野球馬鹿!てめぇがプリント受け取らないと十代目にプリントが回らないだろ!!」

あぁまた…か…

チクッ

「あぁわりぃ!サンキューな!」

「ッチ…」

獄寺は舌打ちをして前をむく。

「ツナ、プリント。悪かったな」

「気にしないで山本。それよりなんかあったの?」

「いや、なんもねぇよ。サンキューなツナ」

そう言って前を向く。

獄寺の仕草に態度に行動に俺の気持ちが左右されて掻き回されて嬉しくなったり落ち込んだり…
1つ言えるのは好きじゃないと分からないし感じられない…ってこと。
まぁ…辛いけど。

*************

授業が終わる合図と共に挨拶がされて自由な時間が始まる。

俺は獄寺とツナと飯を食べるために屋上へ他愛もない話をしながら向かった。

今日は晴天で屋上に気持ちいい風がそよぐ。
獄寺は、はっとしたように立ち上がった。

「あっ!十代目!俺飲み物買ってきます!十代目なんか飲みます?」

「えっ?あっ…俺は特にいいや」

十代目十代目って…寂しいのな…

「獄寺!俺、牛乳欲しいから一緒に買いに行かね?」

「はぁ?なんで俺がお前と行かないといけないんだよっ!!!」

「別にいいじゃなけーか。行こーぜ!獄寺!」

「お前とはやだって言ってんだろ!」

まぁ…そうなるか…。

「獄寺くん。」

「はい!!なんでしょう十代目!」

獄寺の表情が変わった。

「山本と行ってきなよ。俺、待ってるから」

単純に嬉しく思った。
だけどそれと同時にツナに申し訳ない気持ちで罪悪感でいっぱいになった。
ツナに嫉妬…していたから…


「十代目が言うなら…」

「ははっ。行ってらっしゃい。獄寺くん、山本。」

俺はツナにも獄寺にもバレないように平静を装った。

「おうっ!行ってくるな!獄寺行こーぜ!」

「ったく…十代目!行ってきます!」

そう告げて俺たちは屋上を出た。

************

屋上から購買に向かっていた。

「おい!野球馬鹿!お前最近変だろ…。じゅっ十代目にうつったらどうすんだ?」

て少し屋上から遠くなった所で聞かれた。 
変…ねぇ。

「おいっ!山本!お前…やっぱ変だ。」

「んっ?もしかして心配してくれてんのか?」

そう言ったのは少しの願い。
もしかしたらという期待感。

「はぁっ?心配はしてねぇよ」

やっぱり…。

「そうか。」

「ただ…。」

獄寺が呟くように

「気になっただけだ。」

って言った。
それって…気にかけてくれてたってことだよな…?
やべぇかなり嬉しい。
だからなんも考えずに

「ありがとなっ獄寺。」

って言って頭を撫でた。

「んなっ!やめろ!野球馬鹿!」

「わりぃわりぃ。」

そう言ったものの、獄寺の頬が赤く感じたのはきっと気のせい。
だけど可愛かったな。

「ほらっ!さっさと買えよ!」

そんなことしてたら購買についていた。

「あぁ。ん?獄寺これは?」

「あ?奢れよ。俺にあんなこっぱずかしい事したんだからよ。」

って。
奢らない訳がない。

「おう!いいぜ!ついでに菓子でも買ってサボるか?」

って冗談でいってみたら、  

「たっく…十代目の許可がでたらな」

俺の期待が膨らむ。
だって獄寺との距離が近くなった気がするから。

って獄寺!?
なっなんかすげー大量な量の菓子が獄寺の腕の中にあんだけど…

「ごっ獄寺…?」

「これぐらい…いいよな?」

にやっと笑いながらも子犬のような目に…負けた。

「分かったよ」

「っしゃー!んじゃこれも。いいだろ?」

そう言って選んだのは甘いチョコレート。

「チョコ欲しいのか?獄寺。」

甘い物を余り好まない獄寺には珍しかった。

「いや別に気分だし。やっぱりこれは俺が買う。」



「一回買うっていったから俺が買うよ。獄寺。」

そう言うと獄寺は俺をちらっと見て

「これはいいんだよ。会計行くぞ。」

と言ってレジに向かう。
俺は獄寺の後に続く。
獄寺が会計を済ませて俺が会計をする番。
会計の姉ちゃんが涼しい顔で

「8059円です。」

と言った。
ん?やばい。

「んじゃ、これで。」

小銭と1万円だして2千円受け取る。
はぁ…。
こつこつもしもの時の為に貯めた半分近くの金が今飛んだ。

帰ったら親父の手伝いをしてまたこつこつ貯めるしかないみたいだな。

獄寺とツナの為ならいいか。

「戻るぞ。山本!」

菓子が手に入った獄寺は少し上機嫌。
ボンゴレ式修学旅行の時の獄寺の菓子の量凄かったもんな。

「おう!」

**************

「十代目!ただいま戻りました!お待たせしてしまい申し訳ございません!」

「ツナただいま。待たせて悪かったな。」

「気にしないで。それより…どうしたの?その菓子。凄い量だけど…」

と言って俺の両手にある菓子を見る。

「これは後2時間サボる時食べるんだよ。」

「えっ?サボるの?」

ツナは少し戸惑っていた。

獄寺は

「十代目が嫌でしたら、やめますよ!!」

「いや、大丈夫だしそんな用意してくれるなら俺もサボるよ」

「ありがとうございます!十代目!」

「ツナ寒かっただろ。ほらっ。」

ツナに温かいお茶を渡す。

「ありがとう。山本」

「遠慮すんなっ!ツナ。」

「そーですよ。どうせ山本の奢りすから」

獄寺がニコニコ笑いながら言う。

「山本ありがとう。」

「おうっ!」

「十代目!これは俺からです。」

といってチョコと一緒に買ったのかプリンを差し出した。
なんかセレクトが可愛くて思わず顔が綻んだ。

「ありがとう。獄寺くん。」

ツナがプリンを受け取って今からぐだぐだやろうと思ってたらツナのケータイがなった。

「あっビアンキからだ。」

ビアンキという単語に獄寺が怪訝な表情を浮かべる。 

「げっ…姉貴…。」

ツナは電話にでる。

「もしもし?えっ?うそだろ!?すぐいく!」

「なんか揉め事すか?十代目」

一気にふいんきがかわった獄寺にツナが

「ちっ違うよ。ランボとイーピンがダブルで発熱したらしくて。母さんがちょうど明日までいないから帰んなきゃいけなくなっちゃったんだ。だから悪いけど俺帰るね!ごめん!」

といって足早にツナは去っていった。

「十代目お手伝いしましょ「染ると悪いしお願いだから残ってて!」

と残してツナは帰って行った。

「行っちまったな。」

「あぁ…。」

獄寺はかなり落ち込んでいる。  
そんな顔…すんなよ。

「獄寺。」

「…んだよ…」

思い切って獄寺を抱きしめる。

「なっ!?山本?」

「獄寺そんな顔すんなよ。」

「離せ!やめっ!」

ずっと言えなかった気持ち。
今なら言えるかもしれねえ。

「獄寺俺な…好きな奴いるんだ。」

お前の事が…。

「…。」

「だけどそいつ気づいてくんなくて。」

「…。」

「すげー可愛くて、いつもツンとしてんのに本当は優しくてその優しさは俺らにしか見せねーの。」

お前の事だよ。

「ふーん。」

「誰か分かるか?獄寺。」

答えはお前。 

「京子か?」

京子はいつも優しいだろ。

「違う。残念ながら男なんだよな。だからなかなか言えなくて笑えんだろ?」

「おまっ!まさか十代目とか言わねーよな?」

だからお前だよ。

「確かにダチとしてはな。でも違う。」

「じゃあいったい!」

声をあげて獄寺が聞いてくる。

「お前だよ…。獄寺。ずっと好きだった。」

獄寺の顔が耳まで赤くなる。
それを見るとあり得ないと思っているのに期待してしまう。

「おい。野球…馬鹿…」

獄寺が途切れ途切れに言う。

でもやっぱり駄目だろうな…と思ってたらチョコの箱が突きつけられる。

「獄寺?」

「…バレンタイン。明日だけど今日渡してやる。」

チョコを渡されると尚更期待をしてしまう。

「バレンタイン?俺にか?」

「他に誰がいるんだよ。」

「サンキューな。でもこれじゃあ俺期待しちまうよ。」

「…お…い。山本。女子がチョコ男子にあげるのは本命もあるよな?」

ん?あれ。俺まじで勘違いしそうだ。

「おう。」

返事しながら抱きしめる力を強める。 

「それはその本命ってやつだ//////」

それって。

「なぁ獄寺。」

「ん…だよ///」

「それってさ良いって言う返事だと思ってもいいんだよな?」

「…おう。」

嬉しくて涙が出そうだ。 

「隼人。好きだ。愛してる。ずっと大切にするから。」
 
「…俺も///////」

「なぁ。俺隼人の口から好きって聞きたい。」

「好きだ////武/////」

「ありがとな隼人/////」

そう言って隼人の唇に自分の唇を近づける。
初めて触れる隼人の唇は柔らかくて。
だけど確かに触れていた。

「愛してる。」

そう伝えて強く抱きしめた。





***************

俺の初恋は…
とても甘酸っぱくて苺みたいだった。
らしくないけど。
それでもいいと思えたのは隣に隼人がいるから。 

隼人。
俺の愛しい恋人。
そして初恋の人。
 

隼人…愛してる…。


  

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あきゅろす。
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