会いたい
-----跡部視点-----
「あの、景吾さん…」
花子が、俺の部屋に入ってきた。
「あーん?何だ?」
花子に近寄って、軽くキスする。
「…いえ…やっぱり、いいです」
「何だ?何でも言えよ」
遠慮なんて必要ない。
だが、他の図々しい女たちと比べて謙虚な花子が、可憐で大好きだ。
「会いたい人がいるんです…」
顔を赤くして、消え入りそうな声で訴える。
あぁ、こんな表情も可愛い。
可愛くない表情がないな。
「リョーマさんっていう人で、すごくテニスが上手なんです。もし彼が大会に出てるなら、景吾さんがご存知かと思って…」
リョーマと聞くと、あの生意気なルーキーしか思い浮かばない。
「多分、中学生だと思うんです」
俺は何か嫌な予感がして、花子を質問責めにしたい気持ちになった。
とりあえず、一番重要な質問をしておこう。
「花子、そいつに惚れてるのか?」
「えっ、ほ、ほれ…?」
顔がさらに赤くなっていく。
耳まで真っ赤だ。
「(…絶対会わせねぇぞ)」
花子には俺がいる。
俺が幸せにしてやるんだ。
あのガキ、いつの間に花子に手を出したのか。
覚えてろよ。
花子を誑かした罪は重い。
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