王子様に出会う
-----リョーマ視点-----
「…ねぇ」
「はい?」
商品が並べてある棚をみつめる、綺麗な横顔を眺めていた。
その人は、レースがたくさん付いたワンピースを着ている。
あまりこういう所に来る格好じゃないような気がするけど、顔も服もとにかく可愛くて、どうしようもなく気になった。
店員さんも鼻の下伸ばして話しかけてるけど、その人はそんなことには気づかないで、にこにこ笑って話している。
俺も、つい話しかけてしまった。
彼女は俺の方を振り向いて、きょとんとした顔をしている。
「テニスするの?」
「はい、下手ですけど。あと、学校の部活でマネージャーをしています」
顔だけじゃなく、声も可愛い。
耳に心地よく響く感じ。
俺はすごくどきどきしながら、勇気を出して伝えた。
「そうなんだ。時間あるなら、公園のコート行かない?」
普通に話しかけられてるよね。
どきどきしてるのがばれてなかったら良いけど。
「はい、大丈夫です!けど、ラケットが…」
「貸すよ」
「ありがとうございます」
俺が誘ってるのに、すごく嬉しそうにしてくれる。
見た目通り、本当にいい子なんだ。
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その人は、確かにお世辞にもテニスが上手とは言えないけど、すごく楽しそうにプレイしていた。
俺もすごく楽しかった。
「そういえば、名前聞いてなかった。俺、リョーマ。あんたは?」
「花子です。今日はありがとうございました」
「花子。こっちこそありがと。楽しかった」
気づいたらもう日が暮れかけていて、俺たちは公園で別れた。
数時間一緒にいただけなのに、好きになってしまったみたいだ。
本当に可愛かった。
また会いたい。
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