頑張り屋さん
-----宍戸視点-----
「お?花子じゃねぇか。まだ帰ってなかったのか?」
何かゴソゴソ音がしているのが気になって、レギュラー以外の部員が使っているコートを覗いてみた。
そこには花子がいて、コートの掃除を一人でやっていた。
「亮先輩!お疲れ様です」
花子には下の名前で呼ばせたくて、先週伝えたところだ。
花子が呼ぶだけで、自分の名前が特別に聞こえる。
にしても…
「他の奴らは?お前、俺たちメインでマネージャーすることになってたよな?(跡部の職権乱用で)」
ここは他のマネージャーや部員が掃除するべき場所だ。
「みなさんご用事があるそうで、帰られました。なので私が」
花子一人に押し付けて帰るとは…明日きっちり叱らねぇとな。
「偉いな」
近くに跡部がいないことを一応確認して、頭を撫でる。
「え、偉くないです、私の仕事です」
顔を赤くして照れる花子。
謙虚なところも可愛い。
はっきり言って、他のマネージャーたちは俺たちに媚を売っているだけであまり働かない。
それに比べて花子は、毎日一生懸命頑張っている。
今日みたいに、誰も見ていないところでだって。
「みなさんのお役に立ちたいんです」
伏し目がちにそういう花子。
長いまつ毛が影をつくる。
本当に綺麗な顔だなと思って、まじまじと見つめてしまう。
俺は、俺たちのために頑張ってくれる花子が好きだ。
跡部の従姉妹ってことは仕方が無い。
俺は俺なりに、花子が俺を見てくれるように頑張るだけだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!