生徒会室にて
-----跡部視点-----
可愛い俺の従姉妹。
今年から氷帝の中等部に入学した。
本当は女子校に入って欲しかったのだが、本人が
「景吾さんと同じ学校が良いです」
なんて可愛いことを言うので、仕方なく了承した。
そんなに俺と一緒にいたいとはな。
だが氷帝は共学だ。
どんな悪い虫がつくか分からないから、俺が花子をいつでも守れるように、生徒会に入らせ、男子テニス部のマネージャーにした。
「失礼します」
会議のため、花子が生徒会室にやってきた。
先に来ていた俺と二人きり。
「花子」
「はい」
名前を呼ぶと、嬉しそうに近づいて来る。
柔らかい頬に口付ける。
「うふふ、恥ずかしいです」
花子は、俺がイギリス育ちだから挨拶がわりにキスをするのだと思っているようだ。
長くて綺麗な黒髪を指先で撫でる。
つるつるとした感触が心地いい。
花子は俺とは違って、深い黒色の髪と、引き込まれそうな黒い瞳をしている。
しかし肌は白人かと思うくらい真っ白で、頬や唇の鮮やかなピンクが引き立っている。
「変な男に付き纏われたりしてないだろうな」
「大丈夫ですよ。みなさん良い方ばかりです」
その答えに安心した。
花子が俺と血縁関係があるということは、「跡部」という苗字とこの美貌ですでに学園内で知られている。
しかし、この愛らしさに魅了された奴らは、俺の存在が頭から消え去ってしまうようだ。
生徒は勿論、教師だって油断ならない。
花子は俺が守る。
そして、将来は俺の嫁にするんだ。
「失礼しまーす(おお、花子ちゃんが来てる!今日も可愛いなー)」
「こんにちは」
生徒会のメンバーが集まってきた。
誰も彼も花子を見て鼻の下を伸ばしてやがる。
ひと睨みすると奴らの視線が花子から逸れた。
「(跡部さんの溺愛ぶりやばいよな)」
「(あの目怖すぎるぜ)」
「(花子ちゃんに手出したら退学って噂知ってるか?)」
「(うわ、跡部さんならやりかねない…)」
俺は一つ咳払いをして、会議を始めた。
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