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やるせなさとほんとうのぼく
なみだ

つい先日まで暮らしていた流魂街とは違い、綺麗に舗装された白い石畳の道を歩く。
空は快晴。
自分が世界の主人公であるかのような錯覚に陥りそうになる。

今日は私の統学院の入院式だからである。

いや待てしかし、
その発想だと入院する学生はすべて主人公ということになるまいか。
まぁいいか。


「イテ、」


阿呆なことを考えながら歩いていたせいで、うっかり人にぶつかって……否、躓いてしまった。
ぼんやりしていた私も悪いが、こんな道の真ん中で屈み込んでいる君も悪い。

線が細くて白い肌、さらりと流れる緑色の髪。
あら、可愛い娘(こ)。


「ごめんなさい、大丈夫?どうかしましたか?」

「………胃が、痛くて、う、」

「あらあら」


よくよく見るとひどく苦しげ。首筋にじわりと脂汗をかいている。
かわいそうに。
見た目同い年くらいだし、というか服装も私と同じである。
つまるところ


「ああ…入院式なのに………」


ですよね。
そうとわかれば話は早い。打算的で申し訳ないが、瀞霊廷で知り合いのいない私の知人1号となっていただこうか。その足掛けとして、


「私も入院式なので、統学院まで運びましょうか」


悲しい哉、私はそこらの男の子よりも力はあるのです。女の子一人くらいどうということはない…
負ぶされと背を向けると、小さいが確かに聞こえた言葉は


「………ッ女に背負われるなんて………」


ああ、男の子だったのね。








背中を濡らす悔し涙は知らんぷり


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あきゅろす。
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