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酸欠デイズ
野生の感、女の感、

不本意ながらも“うちはマダラ”氏と同じ屋根の下で暮らすことになった私だが、実の所、少し拍子抜けしている。

前任の様子からもっとこう…

味噌汁の味が薄いからとちゃぶ台返しをしたり、お茶が薄いからとちゃぶ台返しをしたり、稲荷寿司が食べたいとちゃぶ台返しをしたり、俺の稲荷寿司を食べろなどと無理難題を言ったりするものと思っていたがそういうことも無く。

強いて疎むべきところを挙げるならば、少々スキンシップが激しいということくらいか。
まぁ、それは異世界に飛ばされて少し人肌恋しいとか、その程度の理由だろう。
鬱陶しくはあるが問題にするほどのことではない。




「青子、風呂掃除済んだぞ」

「ご苦労様です。麦茶を用意するので座ってお待ちください」


家事も積極的に手伝ってくれてとても助かる。


「堅いな、相変わらず」


と笑いながら居間TV前に座ったマダラさんに愛想笑いを返し、台所の冷蔵庫から作りおきしておいた麦茶を取り出す。


めちゃくちゃ馴染んでいる。

私も馴染みそうになる、が…
私は、前任の様子が忘れられないのだ。


海外逃亡した友人の憔悴っぷり、
ああなった理由があるはずなのだが、今日に至るまでの生活の中でマダラさんは私を疲弊させるような言動は一切…………………………………………とは言わないが、していないっちゃあしていない。
寧ろ、優しい。


そ れ が 怖 い 。



何か企みがあるに違いない。
何かこう、優しさの端々から自分本位な“何か”が感じられる。
だから、いくらあちらが距離を詰めてきても、気を緩めないように・とは常々思っている。
気を抜いたら大事な“何か”を失いそうな気がするのである。


根拠は無い。





野生の感、
の感、


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あきゅろす。
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