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酸欠デイズ
捕食者と獲物

その日の内にマダラさんの荷物が宅配便で家に届いた。
準備が良すぎる。
少量の衣服と生活用品、そして何故か、剣道の防具入れ。


「中身を確認しても?」

「どうぞ」


チャックを開けると、赤黒い鎧が出てきた。

…………こんな格好の人間が突然家に現れたのかと友人を不憫に思わなくもない、が、同情はしない。

あの後すぐ奴に電話をしたが携帯も宅電も解約されており、連絡がつかない。
どうしようかと頭を悩ませていた所、宅配物が届いた直後に奴からの手紙…もとい謝罪文が届いた。


“前略…

この手紙を読んでいる頃には、私はもう空の上にいるかと思いますGO TO AMERICA…

ごめんね青子ちゃん”



まさかの海外逃亡。
謝罪文内容は、比率的に

謝罪:3割、
マダラさんについて:2割、
アメリカ生活に対する期待:5割

といったところだった。あのアマ。
私はこの怒りの矛先をどこへ向ければ良いのか。

突然陰謀に巻き込まれたB級映画の主人公の気持ちが良くわかる…

なんて思いながら、とりあえずマダラさんを客間に通して茶を出し、向かい合って一服している訳だが……………………お互い相手を観察している為、端からみればガンつけあっているようにしか見えないだろう。



庭のシシオドシが

“カッコン”、

と間抜けな音を鳴らし、空気が弛んだ。



……………………どうやら私は緊張していたらしい。

何となく、それを相手に悟られるのは癪なので、ばれないようにこっそりと少し乱れた呼吸を整えようとする、が、
それも総てお見通しとばかりに目を細め口元を弛めたこの男を、今になって初めて少し怖いな・と思った。



捕食者獲物



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