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酸欠デイズ
才能の無駄遣い

ガッツポーズをした友人の目元に涙は見えなかった。
このアマ、嘘泣きか…

アア、こいつに呼び出された時に了承すべきではなかった。
奴め“相談”ではなく端から押しつける気だったのである。


それに気付いた瞬間、私はトイレを装いそのまま個室の小窓から逃げ出し……………………家まで駆けて来たところだ。

門前の柱に手をついて息を整える。

普段家に籠りがちな私、日頃の運動不足が祟って膝が震える。

もう嫌。
電話線抜いて、しばらく外界からの接触を断とう。
連絡が取れなければ、奴も他を当たるだろう。
そもそも私に白羽の矢を当てた意味がわからない。

むせながら門をくぐり、玄関の引き戸に鍵を差し込み、




……………………血の気が退いた。

開 い て い る 。



……………………。

鍵を閉め忘れたのかもしれない。

そう思い込むことにして、そっと玄関を開けると、そこには見覚えのある艶やかな黒髪をカンザシで結わえた和服美女が三つ指揃えてお出迎えをしてくれていた。
伏せていた顔を上げ、にこりと微笑み


「おかえりなさいませ、」


なんて言ってくれたので、私も思わず反射的に


「ただいま戻りました」


と応じて靴を脱ぎ、

その靴を和服美女に投げつけた。


「何やってるの、アンタ!」

「いやですわ、一体誰と勘違いなさって「写輪眼、出っぱなしですよ」


見覚えある訳である。
あんなに頑張って逃げたのに、これだから!忍者は!

真っ赤な眼を指摘すると、ボンッと音をたてて美女が美丈夫へと“戻った”。


「写輪眼に気づくとは…流石だな」

「何が“流石”?…ちょっと、本当に何をしているんですか」

「これからしばらく世話になる。親しくしておきたいじゃないか…ちょっとしたお茶目がこの世界では必要だと教わったからな」


間違った知識だ。
気づけよこの阿呆!

…と叫ばなかった私は偉い。


才能の無駄遣い

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あきゅろす。
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