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酸欠デイズ
嘘の色

「つまり、一週間程前に彼の“うちはマダラ”さんが此方の世界の貴女のお家においでなすって、男嫌いの貴女も一週間は頑張って逆トリヒロイン宜しく、現代服を買い与えたり此方の常識詰め込んだりしたけれど、こんな非常識なこと誰にも相談できなくて大変でした・と。

でも今日、私に愚痴ってすこしすっきりした訳だね、良かった!役に立てて!
友人だもの、話くらいならいつでも聞くから頑張ってね応援してるよアディオス!!!」

「待って!本題はこれからだから!」


言われなくても何を言おうとしているのか解る。

彼女は疲れている。
男性が苦手な彼女が一週間も望まぬ同棲…………つらかろう。
しかも異世界、異次元人だという。
可哀想に。

しかしこればかりはどうしようもない。
というか、巻き込まれるのは御免である。

すまない友よ。

私は自分が一番可愛い。


「青子ちゃん!私もう充分頑張ったよ!
逆トリの面倒くさい初期段階は全てクリアしたよ!
後はご飯あげて部屋を与えて散歩して時々帰る方法ググってみたりするだけでいいんだから!
六畳半の下宿に二人暮らしはツラいの!
青子ちゃん前に
“平屋一軒家一人暮らし超さみしい”
って言ってたじゃない!
お願いします預かって!!!!!」

「猫を引き渡すような言い方をするんじゃあありません!最後まで責任もって面倒をみなさい!」


泣きながらヒステリックに喚く友人に辟易する。
くそう、店員さんが先からちらちら此方を見ている。私が悪いの、これ?

とりあえずこの可哀想な馬鹿を黙らせたい。


「ちょっと、うるさいよ。そもそもこういう話って、本人が居ないところでするのは、どうなの?」

「…………じゃあマダラさんが青子ちゃんの家に行きたいって言えば、家に置いてくれるの?」


そんなことは一言も言っていない。

私がそう言おうと口を開く前に、友人は、隣の席に声をかけた。


「マダラさん、住むならちゃんとした大きい家が良いですよねえ?」

「…………そうだな」


……………………いつの間にやら隣席に座っていた黒髪の、端正な顔立ちをした男がシェイクをかき混ぜながら静かに答えた瞬間、友人が私に向かってガッツポーズをキメた。

ふざけろよ。
お前ら、仲良いじゃない。


の色

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