酸欠デイズ
めげない君にエールを
昼食後、茶を煎れ昼の情報番組を観るのが我が家の日課である。
居候は昨今のバラエティ色の濃い情報番組には興味がないようだが、
自室へ戻ることもなく、
それなりに広さのある部屋にも関わらず隣に座り、
時折実にナチュラルな所作でこちらの腿やひざを撫でながら茶を啜っている。
先日の暴挙以前では
「アラアラ、なんだか猫みたいだなァ」
などと思っていたが、もうそのようなゆるゆるしたことは言っていられない。
そもそもなんだナチュラルな所作って…ナチュラルならなんでも赦されるとでも思っているのか…要はセクシャルハラスメントである。
また、野郎に意識を集中させて気づいたことだが、この人、もはや目線すらTVに送っていない………ずっとこちらを向いている。
察するに、暴挙の際に行使した金的に対し何らかの仕返しを考えているとみた。
牽制に、とCMの合間にちらりと相手を見遣ると、にこっ、と微笑まれる。
急所を潰されかけた相手に対する表情ではない。
戦慄し思わず手元にあった孫の手を握りしめ、視線をTVに戻すがもう内容など頭に入ってこない。猫なんて可愛らしいものではない。
猛獣だ、猛獣。
気を抜けば、
次は、
やられる。
ぎしっ、と持病の胃炎が再発しそうな痛みを発した。
療養のための家守でもあるのにどうしてこのような思いをせねばならないの。
どろりと吹き出しそうになる怒りと痛みに唇を噛みしめると
「血が、出るぞ?」
などと言いながら元凶が肩を抱きつつ頬と唇を撫でてくるというのは…
めげない君にエールを
ちょっとどういうことなのかよくわかりませんね…
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