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苛烈で純情@

(※現パロです)




「どうした柱間。気づいていないかもしれないが、震えているぞ」

ゲスト待合室にて、主役でもないのに緊張した面持ちで震える友人に、祝いの席ゆえか、いつもと比べ柔らかく微笑み声をかけるマダラの様子を見て、我々は安心した。
柱間の震える理由は周知の事であり、問題は自分たちの知らぬうちに解決済みなのだ、と。

良い結婚式だった。
新郎新婦の趣味により、BGMは「バーニン●ソウル」であり、同じ趣味の者ども、近場の友人では扉間などが、魂に刻まれた音楽性を抑えることができず無意識に頭を振ってしまう等したが、それはそれ。
微笑ましく、和やかに、式は進んだ。
最中、ふと柱間の左隣で談笑していたマダラの目がカッと見開かれる。
その様子の変化に真っ先に気づいたのは、マダラの向かいに座り、余韻でまだ若干頭が揺れがちな扉間だった。


「どうしたマダラ。気づいていないかもしれないが、震えているぞ」

「……、…………まあ、今は、よい。後で話す」


なんとか、といった様子で言葉を絞りだし、グラスのワインは一気に飲み干された。
不穏な予感がするうえ、そういった予感は往々にして的中する。

斯くして式も終わり、ここは会場ホテルのロビーである。

テーブルを中心に、千手兄弟が並び、向かいにうちは兄弟、そして議長席に私だ。
なぜ。
円卓型テーブルが満席であるばかりに……式が終わった瞬間に普段以上のローテンションとなったマダラを議題にしての進行はつらすぎるが、二次会までそう時間はない。さくさく済ませて二次会までに気持ちを作ってもらわねばならない。
ファイッ


「ではうちはさん……一体全体何事なのか、一言で教えてください」

「そうだな、そろそろ見て見ぬ振りも限界だ。柱間の左薬指に光る指輪をな」

「……………。」


総員息をのみ、今後起こるだろう場の大荒れ具合を想像して呼吸を整えることに集中する。
やはり問題は全く解決していなかったのである。

一早く立ち直ったのは、流石。
千手扉間だ。


「……周知のことだと思っていたのだ。敢えて触れることによりお前が荒れては事だからな」

「そうか」


この場合の「そうか」に「納得」や「同意」の意味はなく、ただただ「切り捨て」の意味しか持たない。下手なことを言えばぼこぼこにされることは目に見えており、力無き者は沈痛な面持ちを装い、瞼を閉じるほかない……


「……隠し立てするつもりはなかった。すまん。……皆に、話がある」


沈黙に耐えきれず、柱間がついに言葉を発した。
中立的立場からすれば、柱間が謝る理由など一つとしてないのだが、

「どのタイミングで伝えたにしろ大荒れになることは10年以上前からわかりきっていただろうが。我々のいないところで済ませておけ」

という理不尽な怒りはあるので、場をすべて任せてしまおうと言葉を続けるよう促した。しかしそれを暫時と止める者あり。
マダラだ。


「待て、心の準備ができていない」

「この期に及んでか」

「もうここまできたらわかるだろう」

「わかる。わかるが。……もしかしたら違うかもしれないだろう。少し静かにしろ。おい、手を握っていてくれ」


何が違うかもしれないのか全くわからないし、手を握っていてほしいと言われきっぱりと断ったイズナのせいで私が手を握る羽目になったのもわからない。
手を握られて少しは落ち着いたのか、小さく柱間へ頷く。


「よし、いいぞ」

「…………プロポーズを、されました……」


受け身……。
議場、各々様々な感情が飛び交った、が、まずは、


「―――……おめでとう」
「よかったね」
「めでたいね」


祝いの言葉である。
握られた手の力がめちゃくちゃ強くて関節が外れそうだが、こちとらオトナゆえ、笑顔で封殺しつつ、促すように強く握り返す。


「――――――……ッ、おめでとう」


地獄の底から響くような、とはこのことか。
しかし、総員その感情は察するに余りあるため、瞼を長めに閉じることで、「よく言えたね」と労う言葉と代えたのであった。





苛烈で純情@







唯一無二の友人がプロポーズされました。
様々な感情が襲うのだよな……

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あきゅろす。
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