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忍者
あたまの悪い犬が2ひき(マダラ+イズナ)


泣く子も黙るうちは一族でも、本家と分家では能力も財力も大きな差がある。
一族の末席も末席、親兄弟も戦死して日々の暮らしもぎりぎりではあるが、それでも、腐ってもうちはということで、一族の脛に噛り付いて生きている。
古い長屋の一室が我が城。
寒い季節には隙間風が厳しい。
雪が降ると戦も減るし、動くとお腹も空くので、炬燵でゆっくり丸まってしんしんと積る音を聞くに限る。


「ちょっと。怠惰の権化のような生活をしていると聞いたけれど、ここまでとは思わなかったよ。弱いのだから修行ぐらいしたらどうなの?」

「出ましたね、その口うるさい小姑が如き小言、汝の名はイズナ」

「顔ぐらい上げてよね!」


本家の、しかもべらぼうに強い子らの弟のほうは、年が近いからか、よく小言をぶちぶちと言いに来る。
外に出て何かやると、必ず後ろからひょいと現れて小ばかにする。
だから大人しく家に籠っていたのに、わざわざやってくるとは……


「御免、の挨拶もないから、居留守も使えなかった……」

「こいつ……もう本当にどうしようもないよ……兄さん、こんなやつにミカンなんて恵んでやることはないよ……」


小姑イズナが怒りに震えながら話しかけるのは、私ではなく、


「……お前が、しばらく見ない、凍死か、もしくは餓死しているのかもしれない、着いて来てくれ、と言うから来たのだろうに」

「に、兄さん!」

「マダラさん」


何と、本家次期族長、べらぼうに強いしこの人に着いて行けばとりあえず間違いなさそう、と一族底辺付近でも噂されている兄のほうもいるとは!……というか全然わからなかった。

それはそれで忍としてやばい。


「そんな入り口の寒いところで、いえ、奥でも真ん中でも然程寒さに違いはないのですが、どうぞ上がってください。お茶くらいなら出せますゆえ、」

「ずいぶん態度が違うくない……?」

「土間にでも座っていなさいよ」

「こいつ……」


次期族長は強いし顔だちも体もきっといい男になる、将来に期待、と二間隣の奥さんも言っていたし、
向かいの姐さんもいい男は大切にしなければならない、と言っていたので、丁重におもてなしする必要がある。

強くて面倒見が良くても小うるさい弟に構うのは後でもできる。
現に、ほっといても勝手に上がって炬燵に入ってぬくぬくしたり、部屋の米櫃の様子を見たりし出した。


「空っぽじゃん……この間の給金は……」

「……丁半でスッた。凄いよあの壺振り、写輪眼でも全然わかんねえんだわ。でもマダラさんならどうにかなるかもしれない。どうです、一丁、」

「た、大概にしておけよな、本当……兄さん、こいつやっぱり小遣い制にすべきだよ……」

「……。」


小姑は価値観が異なる相手を目前にした顔で慄きながら、自分で持ってきたミカンを剥いて、茶を煎れている私の口に入れてくる。甘い。


「やだあ、そんなの……放っておいてよ……あの世には何にも持って行けやァしないのだから、いいじゃない。それにしてもミカンおいしい。良いミカンだねぇ。ありがとう」

「そうでしょう。晩秋の戦でついた大名に貰ったものだよ。アッ、話をそらそうとしても無駄だぞ!だから死なないように修行をしようって言ってんの!僕も兄さんもちょこっとだけなら付き合うから!」




あたまの悪い犬が2ひき



「……?……俺もか……?」



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リクエスト、「お前ら本当に仲いいなよそでやれ」です。
マダラさんの取り合いには……なっていませんね……
ごめんね……



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あきゅろす。
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