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ぼくとランデブー(マダラ)


「なに、オーベルジュが潰れてしまっては仕方がない。柱間も結婚し、あの会合も、もうやる必要はなくなったというわけだ……」


毎年行っていた、

“クリスマスがなんぼのもんじゃい!独身貴族の底力みせてやるぜ会”

を開催していたオーベルジュが今年の初夏に閉店してしまった旨を、電話にてうちは氏に伝えた際の寂しげな声が忘れられない。
その寂しさは予定が入らなかったことや、もう独身貴族トリオが揃うことは無いというだけではなく、

様々な葛藤、
昨年のオーベルジュでうちは氏ブチ切れテーブルちゃぶ台返しでシャンデリア崩壊事件、
その後の後始末、
晩秋の千手氏結婚式二次会三次会暴走事件―――……

まこと様々、様々なことを思い浮かべつつの言葉であったことだろう。
この男、冷静に見えて何かしら、誰かしらが枷となってやらねば大暴走を起こす恐ろしい輩ということがわかった。
今までクリスマスにしか会わなかったため気が付かなかった。
危険な男だ。

それをなぜだか一番理解している千手氏の弟君に


「黒子さん、大変勝手な願いだとは重々理解したうえで、申し上げる。あいつをクリスマスの夜の街に、一人で放つのは危険だ……どうか、どうか見張っていてほしい。必要あれば手伝いもする。
どうせ今年も、予定は空いているのだろう」


この野郎、と思いはしたが、確かに予定は空いているのでどうにかしてやることとした。


『そういうわけよ』

「どういうわけだ」


そしてクリスマスイヴ、ところ変わってうちは氏の会社の屋上である。
ヘリポートに呼び出し、ヘリの風になびかれながら声を張り上げる。


『誕生日に一人だなんて!うちはさん、テロでも起こしそうじゃあありませんか!この日のために用意しましたよ!』

「ヘリをか。チャーターしたのか、わざわざ」

『まさか!』

「そうか」

『チャーターなんてぬるい真似をするわけないでしょ!買ったのよ!免許も取ったわ!』

「……。」


一瞬、柄にもなく怯んだ顔をした気がするけれど、そこは、普段ワンマン管理職として敏腕振るう企業戦士。
ふふ、と息を吐くように笑い、ヘリへ歩を進めてくる。


「……お前のそういうところは嫌いではない。
だが、だから婚期を逃すのだ」

『ウルセー!(ピー)億円の夜景、見せてやるよ!』

「男らしいな!そのいやに具体的な値段は何だ!」

『ヘリと免許と諸々の合計金額だよ!乗れ!』


これ以上余計なことを言うと一本背負いを決めてしまいそうなので、ヘッドホンを叩きつけた。




ぼくと



「ところで黒子、これは軍用機ではないのか」

『高かったよ。これで千手の屋敷へ乗り込む』

「よかろう」


満足そうに即答し、野郎はシャンパンを瓶から直に飲み干している。
我々の戦いはこれからも続く!
来年の独身貴族トリオも、どうかお楽しみに!



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HAPPYBORTHDAY & MERRYCHRISTMAS!
24122015


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