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愛してワルツの三拍子(マダラ)
(※ノイジィ・ヘイズィ番外)

定期健診で千手クリニックへ行くと、駐車場で扉間先生とマダラが一触即発状態であった。


『おやまあ、マダラ。そんなに歯をむき出して、どうしたというの』

「!黒子……お前こそどうした……俺に会いに来てくれたのか」


呼びかけると尾を振って寄ってきてくれる。
しかし都合の悪い質問には答えない。
耳のうしろを掻いてやりながら、自分に都合が良かろうが悪かろうが答えてくれる人に目をやると、言葉にせぬうちに返事をくれる。


「……兄が、数日の講演イベントに駆り出されてな。数分前にそいつを置いて出発したところだ。リードに繋いで急ごしらえのゲージに連れて行こうとしたのだが……」


ごねたのだろう。
頬を私の手に押し付けるようにすり寄っているわんころに目を戻す。


『だめでしょう。数日でもお世話になるのだから、言うことを聞かなければ』

「あいつのそばにいてかみ殺さないだけ進歩していると褒めてくれたじゃあないか。それ以上の妥協は厳しい……お前が一緒に居てくれれば良いものを」

『だめだ…金銭問題が絡むから…とにかく、今のところはまず、ゲージに居なさいな』


言い聞かせながらゲージへ導く様子を千手先生が感心したように見ているので、とても気分がいい。


「さすがだな…調子も良さそうだし、変わったことが無いようであれば、今月から薬の種類を変えて、量も減らしていって良いかもしれない」

『本当ですか!』


終わりの見えない病であったが、わずかに光明見えた思いだ。相変わらずマダラは成人男性に見えるが、もう慣れてしまったし、私のとっての彼はあの姿として認識してしまっているので、別段問題ではない。

嬉しい。

思いがけない喜びに、ここ最近で一番大きく華やいだ声を出してしまった。
それに反応したように、背後のゲージがガシャッと大きく鳴ったその音に振り向いた次の瞬間、

衝撃、

倒れそうになったところを今度は腕を引かれて元の位置に戻される。
力のベクトルが行ったり来たりで重心がぐらぐらしふらついていると、頭を掴まれマダラの顔が近づいてきた。
ゲージの塀は私の身長ほどはあったはずだが、どうやら彼は飛び越えたらしい。
飛び越え私にタックルしたのだろうが、タックルされるいわれはない。
叱りつけようと口を開く前に、噛みつきそうな顔で抗議が始まった。


「お前というやつは!あんなに華やいだ声を!笑顔を!扉間如きに見せやがって!」

『……。』

「俺というものがありながら!!!」





愛して
ワルツの
三拍子


感極まって、咽喉を詰まらせながらいうほどのことじゃあ、ないでしょう?






(のっぺらぼうさんへ)


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あきゅろす。
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