海賊
君の夢は僕の夢(エース)
(※学パロ設定です)
高3の冬といえば、進路に向けて皆右往左往するものである。
私も一応、進学を目指しているので、出来が悪いなりに塾に通ってみたりして勉学に励んでいる訳だ。
私の心は受験一色。
他に意識を向ける暇はない。
「というわけで、後輩と喫茶店でのんびりする時間は無いのよ、ポートガス君」
わかりますか?
と皮肉りつつもホットティーを二つ頼んでしまったのは、私の塾が終わるまで外で待ち伏せしていたこの阿呆な後輩の鼻が、寒さにさらされ可哀想なくらいに赤くなっていたからだ。
「それで、何か用だったんじゃあないの?」
何時間寒空の下にいたのか知らないが、ただ
“顔が見たかった”
とか、そういう事ではない…………とは言い切れないのがこの子だけれど…………。
不安に思っている間に、もそもそと話をする体勢を作っているのでちゃんと“用”はあるようだ。
そしておもむろにポケットから取り出したのは、小さく畳んだ何かの、プリント…?
「黒子が忙しいのは解っていたんだけどよ、三年に上がるのに、どのクラスに入ればいいか解らなくて」
我々の高校では学科というものが無く、学年が上がる時に各々の進路に必要な科目を選択することによって、文文、文理、数理、といった具合にクラスが決まる。
学校側ではこの時期に進路調査表を集め、クラス分けを始めるのである。
なるほど、進路相談か…
相談室へ行け。
…………と、言えないのは、目の前のこの子がしょんぼりした大型犬のように見えてしまったからだ。
この顔に負け続けて半年以上が経つ。
「…何か大まかでも良いから、やりたいこととか、何処へ行きたいとか、無いの?」
人の相談に乗っている場合では無いのに、と喫茶店の天井を仰ぎながら訊く。
すると予想外にも
「目標はあるんだ」
と返ってくる。
何だ、そういうモノが無いから悩んでいるのかと思ったのに。
しかし科目決定とかなら、尚更私の出番では無い気がするのだけれど…という思いを込めつつ先を促すように相手の目を見ると、途端しどろもどろに目をそらされた。
…………私の中で警報が鳴る。
この警報は私がこの半年で取得したもので、主に眼前の後輩がさらりとオソロシイ言動をする際に起動する。
「ア、いや、他意は無ェんだけどさ、一つの意見として訊きてえんだけど」
「…………何?」
「黒子は、何クラスだった?」
他意は無いとわざわざ述べる時点で他意有りまくりだと思ったが、別に応えて困ることもないので
「…私は、文理だけれど」
と返すと、彼はぱっと表情を明るくして、言った。
「じゃあ俺も、文理?」
君の夢は僕の夢
(大学までついてくる気か)
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もなかさんへ
年末年始リク
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