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海賊
君じゃ無ければ意味がない(鳥啼歌番外)

訓練中にエースさんに胸を揉まれ、セクシュアルハラスメントと判断した私は速やかに足払いをし相手がぐらついたところにアッパーカットをキメたのだが、
場所が船のへりだった為、顎を強打され脳震盪を起こしたエースさんは海へと落ちてしまった。


「きゃー!」


悲鳴を上げたのは私ではなく、見物をしていたサッチさんとビスタさんである。
私はびっくりしすぎて声も出ない。まさか落ちるとは思わなんだ。

騒然とする中ぽかんと呆けていたが、落ちた彼はカナヅチであることを思い出し、私は深く考える間もなく海へ飛び込んだ。


*


こちらの世界へ来てから肺活量も上がっているので、然程苦しい思いをすることなくエースさんを救助することに成功した。

しかしこの男、意識がない。


「きゃー!」


悲鳴を上げたのは私ではなく、騒ぎに集まってきた他の隊長方である。
私はパニックになりかけていた為、冷静であろうと努めることに必死で声も出ない。
こういう時はアレである、


「お、応急救護を、しなければ…」


あちらの世界にいたときに、バイトの研修や自動車免許取得の際に学んだ知識を今こそ活用するのである。


「応急救護なんてできるのか黒子…」


などと呟くサッチさん。
先程までふざけたようにきゃあきゃあ言っていたのに、私が応急救護発言をした途端に不安げになるとは、どういうこと。


「そういう声色、やめてください。一番不安なのは誰だと思っているのですか。
サッチさんでもエースさんでもなく、

私ですよ」

「「「キャアー!」」」


打ち合わせでもしたかの如く、その場にいた皆さんが悲鳴を上げた。


*


まずは、確か、負傷者に声をかけ意識の有無を確認する。
白目を剥いてどう見ても意識は無いが、手順は踏むべきであると、私の中の日本人の血が言っている。


「もしもし、大丈夫ですか」

「……………………。」


大丈夫ではなさそうだ。
よって、次に大きな声で協力者を求める。


「だ、だれかー!」

「どうした黒子!大丈夫か落ち着け!」

「私は大丈夫です…ではサッチさんは救急車を呼んでください」

「キュウキュウシャ?」

「大丈夫ですか?落ち着いてください、119番通報です」

「大丈夫か、お前が落ち着け」


場合によってはAEDも必要である。


「イゾウさんはAEDお願いします」

「えーいーでー?」

「除細動器です」

「女妻銅器?」


そして、それらが来るまでに呼吸状態を確認し気道確保。
エースさんの前頭部に手を当て、顎に指を添え、
…教習所の教官さんは、結構な力を入れなければ気道確保は出来ないと言っていた、気がする…
力一杯押し上げた。

ゴキリ、と負傷者の首から嫌な音がしたが、何か(気道)を得るためには別の何か(骨)が犠牲となることもある。致し方ないこと。

呼吸音も無く、胸が上下に動いてもいない。多分。


「…人工呼吸をします。」

しかし相手が異性の場合、後々問題となることもあるので、同性の協力者がいると良い、と教官さんは言っていた。


「では、私が心臓マッサージをする合間にマウスツーマウスお願いします…………………………………………マルコさん」

「ゲホッ!そいつは勘弁!」

「!」



君じゃ無ければ
意味がない







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20000リク
大宮青葉さんへ


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あきゅろす。
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