海賊
舌っ足らずの恋足らず(20170101)
(※現パロ1.1)
誕生日だから、何かお祝いをして欲しい!
という本人の希望を叶えるべく、準備をしようとしたところ、本人及び彼の友人数十名に
「それは俺たちがやるから」
「おとなしくついて来てくれればいいから」
と止められ、何が何だかわからないうちに、誕生日前日……つまり大晦日になった。
その後音沙汰もないので、とりあえず贔屓の蕎麦屋さんへ年越しそばを取りに行こうと玄関を開けると、待ち構えていた彼の友人数名に
「おっ、こいつは奇遇!」
「ちょっとおとなしくついて来てもらうよい」
とアメ車のようなゴツイ車に乗せられた。
近場と油断をしていたら、あれよあれよと県境を越え山越え谷越え、マジの隠れ家温泉宿に到着してしまったけれど、これは一体どういうことなの。
いえ、ここまで来ればもう大体の予想はつきますけれども。
ここまで連れてきた友人たちは、おもむろに取り出したサテンのリボンをタイ代わりに私のシャツの襟に巻き付け、満足したように頷いて去っていった。
雪が降ってきた。
寒いのでとりあえず中に入ると、楚々と仲居さんに
「お連れ様はお部屋です」
と部屋に案内をされる。
温かいお茶を煎れてくれた仲居さんが退出をし、一口飲んで落ち着いてから、向かいでソワついている後輩に目をやる。
「お誕生日は明日でしょ、ポートガス君。何をするのか言ってくれないと、準備もできないでしょ。びっくりしちゃったよ。ポートガス君の誕生日なんだから、私がびっくりしてどうするの。ポートガス君がびっくりする側でしょ」
「いや、ほんとに来てくれるなんてびっくりしてる……」
「どういうことなの……」
どうやら主犯は彼の友人一派らしい。
以前友人らと「ドキッ男だらけの鍋パーティー(むろんポロリもボロンあるよ)」をしつつテレビで観たこの宿で惚れた子とむにゃむにゃできたらいいなあ、むにゃむにゃってなんだよ!そいつはやっぱりなるほどしかりぎゃはははわははははウフフ……と混沌極まる中の会話の一つを物覚えの良い野郎が覚えていたという、そういう話らしいが
もちろん初耳。
彼らに関わると常に思うことだし、もはや今更かもしれないけれど、どうか言わせて欲しい。
私の意思はどうなるのさ。
しかし完全に感無量で鼻を赤くしている、明日誕生日の後輩をハッ飛ばすわけにもいかない。
優しく諭してどうにかしたい。もしくは
「こんなところ初めて!!!すごーいキャッキャワハハ」
と楽しい感じで乗り切りたい。
プレゼントも無難に、ちょっと良い靴下を用意してあることだし、フワッと収めたい。
そうしようね。
お茶を一気に飲み干して勢いをつけてガツンとテンションをトップギアで持ち上げてまずはロケーションの素晴らしさから語ろうと息を吸っ「部屋にさ、」
「……うん、」
「各部屋に風呂が付いてるんだよ。温泉が通ってるんだってさ」
「……そうなんだ……す、素敵だね!」
「だろ!……。……一緒に入ろ?」
舌っ足らずの
恋足らず
お前ら本当にコレ……どうするんだよう……
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(happybirthday20170101)
★強制的「プレゼントは私よ」―――…!
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