海賊
酒乱バースデー
(鳥啼歌番外)
カウントダウンと共に花火が打ち上げられる。
いつの時代も、人は華やかなことが大好きだ。海賊ともなれば、さらなり。
私も数分前まで、柄にもなく羽目をはずして酒瓶を一気に空にしてその瓶を振り回しながら哄笑していた。
怯えたように羽交い絞めにする、背後のエースさんに声をかける。
「ハハハハ…そういえばエースさん、今年はちゃんとお誕生日プレゼントを用意しているのですよ」
「えっ、何!?黒子!?いま何て!?」
周囲が騒がしくて声が通らない。
言いなおすのも面倒だし、こうしている間にも酔いがどんどんさめていく。
「バカヤロー!酒が足りねえっつってんだよ!」
「いやいや、やべぇよお前、いくらなんでもお前…なあ、今日俺の誕生日なんですけど?」
「だからー!!!プレゼントがあるんですよォー!」
「えっ、なんて!?」
「………。」
物凄く喜ぶエースさんにドヤ顔で渡したかったが、仕方がない。
身を捩って酒瓶でエースさんを殴りつけながら振りほどき、ポケットにいれておいたぽち袋を取り出す。
もうぐしゃぐしゃだが、どうしてこんなにもぐしゃぐしゃなのか。
渡す相手を探すと、なぜか床にうずくまっている。
ハッピーバースデーの歌を唄いながら身体を揺する。
始めは一人で唄っていたが、周囲の酔っ払いに広まり、あっという間に大合唱となった。
良い海賊団だ。
唄い終わる頃には涙が落ちるを我慢できなくなっていた。私が。
「おめでとうございます。プレゼントです」
「…おう…何これ…?」
莞爾、と笑い言葉を返す。
「肩たたき券ですけど」
前、欲しがっていたいただろ!と肩を叩く。
酒乱バースデー
(01/01/2014)
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