海賊
手の甲に青痣(学パロ)
華の女子高生となって早三年。
私は特に部活動に入ることも無く、のんびり気ままな日々を過ごしていた。
部活をしていないため、特に慕ってくれるような後輩も居ない筈であった。
「黒子…!」
筈であった。
***
二週間程前から、誰か後輩が私を探しているという話はきいていた。
どんな子かと訊ねると、
「癖のある黒髪で、そばかすがあって、笑顔がかわいい」
という。
私は可愛らしいきゅるきゅるとした小型犬のような女の子を想像した。
何の用かしらん、とわくわくもした。
しかし、話を聞いた一週間後、目の前に現れた子は、確かに癖のある黒髪でそばかすがあって笑顔がかわいかったが、同時に筋肉質で高身長の男の子だった。
大型犬だった。
初対面時『黒子先輩』だったのが次の日には『黒子さん』になり、その次の日には『黒子!』と呼び捨てになっていた。
凄い勢いで距離を詰められ、気がつくといつも隣に居る後輩に、私は嬉しいというか、
戦慄した。
***
「何で逃げるんだよ黒子…!」
「だっておかしいよポートガス君、きみ、私のそばに居すぎだよ、よく考えたら、ポートガス君1学年下じゃない、なんで授業中もいるんだろう?
あと、よくよく考えなくてもポートガス君男の子じゃない、なんでトイレにまでついてくるんだろう?」
怖いよ!と叫ぶと
「一緒に居てえからだよ…だめか?」
なんてきゅるんとした顔で言うのである。
「巷ではそれを“ストーカー”というらしいよ、ポートガス君」
そもそもこの子は何故私を慕うのか。
恋愛感情では無いと思う。
驚くべきことに、彼には既に彼女が9人いるという。彼の友人のマルコ君に教えて貰った。
9人ってお前、野球チームか。
………………なんて考えている間にチャイムが鳴った。
目の前には私のクラス。
グッドタイミングだ。
するりと滑り込み、私を追って伸ばされた手を思いきり扉で挟んでみた。
「自分の教室に帰れポートガス!」
手の甲に青痣
(旧「世界の中心は僕」)
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