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海賊
甘酒うめえ(シャンクス)
(※鳥啼歌番外設定です)


広大なるグランドラインには本当に様々な島がある。

“年越しの島”なる島に停泊することとなった訳だが、この島では一年間を大晦日と正月の為の準備にかけるのだという。
よって世界で一番盛大な年越しを過ごせるとか、なんとか。
そんなオモシロオカシイものを、祭り好き集団と言っても過言では無い我等が海賊団のクルー一同がスルーするわけも無い。

いつもの阿呆隊長ズに引っ張り出されたまでは、まあ良かったが、お約束の如く気がつけば人混みの中を一人きり。

人の波はカウントダウンを行うという場所へと流れてゆく。
あの二人も恐らくソコに居るのだろうけれど、何だか行く気も失せてしまったので、流れから外れ、改めて周囲を眺めてみる。
人に揉まれて今まで気が付かなかったが、道の脇には食べ物などの屋台が並び、明々と輝くライトに照らされるその風景が元居た世界と変わらなすぎて不覚にもメランコリック。

コートのポケットに手を突っ込み吐くため息は、白い。

………もう、船に戻ってしまおうか。

そう思って顔を上げると、目の前に温かそうな甘酒と、赤い髪の、オッサンが立っていた

ニッと歯を見せて笑いながら


「迷子か?」


と声をかけられ、少し考えてから頷くと


「実は俺もだ」


なんて言うものだから、こちらも少し笑ってしまう。
お茶目だ。もうイイ歳だろうに…と失礼な感想を抱き、受け取った甘酒を舐めつつ相手の観察をする。
頭、本当に赤いんだ…
ニューゲートさんと並べば紅白でめでたい感じがするだろうな、と阿呆なことを考えていたら目が合ってしまった。


「どうかしたかお嬢さん、俺の顔に何かついてるか?おっ、もしかして見惚れたかァ?」

「…まぁそんなところっす」

「扱いがぞんざいだな!」


けらけら笑う様から人柄の良さを感じる。流石、この世界の主人公の目標となる人物である。へらりとおどけつつも慰めてくれる。


「まぁこんな男前と離れたくない気持ちも解らなくはないが、連れが早く見つかるといいなお嬢さん。じゃないと、柄の悪い男に絡まれちまうぜ」

「今宵は大晦日ですよ、そんな無粋なことをするのは柄の悪い輩ではなく役人ぐらいではありませんか」


よく考えず口から出た言葉に一瞬驚いた顔をした後で彼は、

「違いねえ」

と今までで一番大きな笑い声を上げた。
あまりの大きさに通行人も振り返る。これは少々、恥ずかしい。
しかしこの声で、どうやら私の保護者が気づいたようだ。
人混みの向こうに見知った腕が見えた。


「連れが来たようです。短時間ではありましたが、お相手、どうも。甘酒ご馳走さまでした。………赤髪の船長さん」


向き合って腰を折る。
自身が何者であるか気付いていた私にちょっとばかり驚いた顔をしたのを見て、もう少し話をしてみたかった…ともったが、異様なほどに心配をしたエースさんとサッチさんを前にしたらそんな考えは無へと帰した。




甘酒うめえ





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ほのかさんへ
年末年始リク


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あきゅろす。
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