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REBORN
空夢よさらば (骸ツナ)






「そういえばさ、骸はどうなったの?」

10年後の世界の守護者が全員揃い(俺と獄寺くんと山本以外のね)ふと不思議に思ったことを、寝る前にリボーンに聞いてみた。

「気になるのか?」

「いや…別に気になるってほどじゃないけど…もう10年も経ってるんだから出所出来たのかな?って思って」

「お前は本当にいつまでたっても甘いな」

リボーンはいつも以上に呆れた声でそう吐き捨て

「10年後のお前もすごい気にかけていたらしいが…上手くは…いかなったみたいだぞ」

……?上手くいかなかったってどういうことだ?

「とりあえず、今はもうイイからとっとと寝ろ。明日も一日ねっちょり修行だからな」

「マジで〜〜〜〜!?!?!?」

俺は追い立てられるようにして、ベッドの中に転がり込んだ。




「……ん?」

ココは…どこ?あぁ……夢か。でも珍しいな。こんな草原のど真ん中で寝てる夢見るなんて。

「おや、これは珍しい。ボンゴレ10代目ではありませんか」

あーなんて不思議。骸の声まで聞こえてきた…って

「えーーーー????ゆ、夢じゃない!?まさかっ!!」

「いえ、夢の中は夢の中ですよ。だって僕の姿が10年前のままでしょう?…だからココに来れたのかもしれませんが…ですがボンゴレに出逢えるなんて、やはり散歩をしてみるものですね。クフフ」

奴はいつもの含み笑いをした後、まるで面白いものを見るかのように俺を見てきた。

「まさか僕のことを想って寝てくださったとか?」

「有り得ない」

あーもー早く帰りたい。とっとと起きろ!現実の自分!!
…あっ、でも…

「あの…さ、ちょっと聞きたいことあるんだけど、イイ?」

「何です?」

クフフと嬉しそうに笑いながら骸は俺のベッドに腰掛け、寛いだ。

「お前が捕まってから…もう10年だろ?さすがに出所出来るんじゃないの?いや、俺だってお前のしたことが許されるとは思っていないけど、さすがにあんなところに10年もいるなんて…」

淋しすぎるよ。
横から見た骸の表情は驚きもあったが、ひどく哀しそうに見えた。

「ボンゴレ…君の言う通り、僕はもう出られます。でも、僕は自分の意思であそこに留まっているんです」

「……え!!なんで!?」

「君は…僕の罪を知っていますか?」

え…?罪…ってそりゃあ…

「人をたくさん殺したり、無関係の人間を傷つけた、り…?」

俺がそう答えると骸は哀しそうに微笑んで俺を見てから、遠くの方を見つめてしまった。

『こんな子がいるから、こんなことになったんだ!!!』

『早くどっかにやってよ!気味が悪い!!』

『こいつは不幸を招くぞ!!』

『こいつさえいなければ…こんなことには…!!』



『こんな子供…生まれなければよかったのにっ!!』



「…僕の罪…それは僕の存在そのものです」

存在そのもの。それって生まれてきたことが…罪ってこと?
そんな酷いことがあってたまるか!
こいつは…まさか幼い頃からずっと一人でこんなにも重い十字架を背負っていたっていうのか?

「僕は存在するだけで人々を傷つける。もう誰も傷付けたくない。もう誰も哀しませたくない。僕さえいなければ、誰も不幸になることはないんです」

骸は自分の手を見つめ、その後血が出るまで強く強く拳を握った。まるで自分が憎くて憎くて仕方がないかのように。
「それに僕にはもう行くあても帰るあてもないんです。これ以上犬と千種、それにクロームを危険な目には合わせられませんから」

あの3人だって、もう一度捕まってしまったら終わりでしょう。と骸は柔らかく笑った。

「ふざけるなよ……!!!」

「え……?」

「俺は…ずっと傍にいてくれるだけで…一緒にお前がいてくれるだけでそれで良かったんだよ!!3人ともお前に傷付けられたなんてちっとも思ってない!!お前と一緒にいれることが楽しくて、幸せで…なのになんでもう戻れないみたいなこと言うんだよ!!」

かっこ悪。俺の方が泣きそうじゃないかよ。

「僕がいて…幸せ…?」

「そうだよ!!あいつらにとっての幸せはお前そのものなんだよ!!だから…戻ってきてよ」

「ボンゴレ……」

「戻ってきてさ…また、俺の守護者になってくれないか?お前の罪は一生かけて償っても許されないかもしれない。だけど…」

だけど…お前の背負ってる重い十字架を俺も一緒に背負ってあげるから。
俺も…お前が一緒に、傍にいてくれるだけで…それだけでいいから…さ。

「ありがとうございます」

ずっと前に失くしていたと思っていたものが、溢れ出てきましたよ。
僕にもまだ涙なんて残っていたんですね。




Title by "F"

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