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REBORN
歩き出せ、クローバー (ツナ+ヒバ)






「またこんな所で寝て…」

屋上で寝ていると、聴きなれた声がした。

「風邪引きますよ?」

目を軽く開くと、色素の薄い茶髪と金色の瞳が見えた。

「沢田か」

僕がそう言うと、彼はふふっと柔らかく笑って僕の頭に何処からか拾ってきたのだろう青葉を振り撒いた。

「何?これ」

「きれいな葉っぱでしょう?でももうすぐ夏も終わっちゃうんですよ」

彼の顔に影がさしたかと思うと、はぁと大きな溜息が聞こえた。

「…自分の好きな人が自分のことを好きになってくれる。たったそれだけのことなのに…どうしてでしょうね。一生揃わない気がするんです」

寝てる僕の横に腰を下ろし、自分の手をいじりながら彼は呟いた。

「人の気持ちなんてそう簡単には分からないし、変えられないからね」

「そんなことぐらい…俺だって重々承知です」

「だから…僕らに出来ることなんて、ずっと諦めないで想い続けることぐらいなんだよ」

沢田は一瞬ひどく驚いた顔をしたが、すぐに声に出して大笑いし始めた。

「何?」

何かすごい恥ずかしいんだけど。

「いや…だってまさかヒバリさんがそんなこと言うなんて思わなくて……ハハッ!!」

あぁもう笑いが止まらないと沢田は笑い転げた。

「ちょっと。早くその不愉快な笑いを止めないと…咬み殺すよ」

「はーい」

沢田は声だけはイイ返事をした。完全に人を馬鹿にしてるだろコイツ。

「…あー幸せになりたいなぁ!!」

急に元気になった沢田は立ち上がって、のびをしながらそう叫んだ。僕はあまりのうるささに耳を塞いだ。

「あっ、そうだ!!今から四葉のクローバー探しに行きません?」

「はぁ?」

こいつまさか授業サボる気?ただでさえ補習ばっかりなのに…まぁどうでもいけど。

「だって、幸せは自分で掴み取らないとっ!!」

そう言ったかと思うと満面の笑顔で僕の腕を引っ張り、駆け出した。

「えっ、ちょっ!!」

「ほら…絶対見つけましょうね!」

幸せのカケラ!!




僕らのこんな毎日も、永遠に僕らの宝物となる。

いつまでも僕と君が笑い合っていられるように。

あぁ神様、どうか僕らにささやかな幸せを。

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あきゅろす。
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