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REBORN
夏恋味 (骸ヒバ)






夏と言えば海。即ち海水浴。…玉砕。
夏と言えば怪談。即ち百物語大会。…玉砕。
夏と言えば花火…

「ということで今日の夕方、並盛神社のお祭りに行きません?」

「…は?ヤだ」

暑い。人込み嫌い。めんどくさい。と夏祭りを全面否定するようなコトを言うのは、僕の可愛い恋人雲雀恭弥。

「でも折角のお祭りですよ!!僕も雲雀くんと一緒に日本のお祭り満喫したいです!!」

「別にどうでもいいじゃないお祭りなんて」

「よくないです!!折角恋人同士になれたのに…夏の思い出が一つもないなんて…」

だって…雲雀くんはいつも学校に来てばっかりで僕と一緒にいてくれようとしてくれないんですよ!!ひどくないですか!?
僕が思いっきりハァと大きな溜息を吐くと、雲雀くんが少し眉を顰めながら

「そんなこと言ったって…嫌なものは嫌。僕みたいなのが行ったらなんか悪目立ちするし」

『デート』が出来ない…

きゅーん…
…何!?なんでこの人はこんなにも可愛いんですか!?
そんなちょっと不貞腐れたみたいな顔して「デート出来ないじゃん…」なんて!!
意地でもやってやろうと、逆に燃えて(萌えて?)しまうじゃないですか!?




「で?……何?コレ」

「えっ?浴衣ですけど、何か?」

「何か?って、どーみても女物じゃない!!こんなの僕に着ろって言うの!?」

そう。
僕が急いで買いに行って雲雀くんに渡したのは上品な赤地に、白と少しピンクの入った大き目の花が散っている浴衣と、可愛い黄色の帯。

「絶対似合うと思いますよ(満面の笑み)」

「咬み殺すよ。変態、コスプレマニア」

そんな人の全人格を否定するようなこと言わなくても…

「だって普通に行ったら目立ってしまうでしょう。だからこれで行くのが一番です!!絶対バレません!!」

ついでに髪飾りも買ってきたんです。
とか何とか言って雲雀くんの気がちょっと緩んだ隙に、僕は絶妙な手裁きで雲雀くんを着替えさせた。




「お嬢ちゃん可愛いね!!ほら、これ持ってきな!!」

「こ、これもう一個、よ、よかったらどうぞ!!」

お祭りに行った雲雀くんはモテモテだった。
横にいる僕なんて気にも留めずに、次々と出店の人間達は雲雀くんに貢物をした。
そのせいで彼の手には大量のビニール袋が…

「なんかみんな親切だね」

りんご飴を食べながら、普段は見せない笑顔で言う雲雀くん。
……まったくこの人は…自分が今どれだけ可愛いか分かってるんですか!?
女物の浴衣と僕の完璧なメイクで、普段以上の色っぽさを醸し出す雲雀くんのせいで、僕は横に平気な顔で立っているのもやっとなんですよ!?

「でもこれ全部食べ切れないよね。君のお供の二人に持っていってあげなよ」
 
「あ…あぁそうですね。ありがとうございます」

彼は僕以上に、犬と千種がお気に入りのようだ。いやむしろいつもは仲間意識なんて愚の骨頂と謳歌しているのにも関わらず、僕の『仲間』はすごく大事にしてくれている。
僕が彼のそういう面に惹かれているのかもしれない。
バーンとそこで大きな花火の音が聞こえた。

「「わぁ……」」

夜空に舞う光が、こんなにもきれいだなんて始めて知った。
夜の爆発音で、こんなにも胸が躍る感覚なんて初めてだ。

「僕、こんなにもお祭りを楽しいと思ったことなんて初めてだよ」

「へ?」

「…ありがとう、骸」

柔い光の中で、彼の白い肌は一層きめ細やかに輝き、その妖艶さに僕は眩暈を起こしそうになった。

「雲雀くん…」

僕はそう言って彼の手からりんご飴を奪い取り、彼の少し濡れた唇にゆっくりと口付けた。




少し甘酸っぱいのが…なんとも僕ららしくて。

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あきゅろす。
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