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『薄桜鬼』二次創作
今年の願い
 今日は新選組の幹部で初詣に来ていた。神社には大勢の人がお参りをするために集まっていて、活気に溢れている。
「こりゃすげえな……」
 原田の発した率直な感想に、その場の誰もが肯いた。
「これだけ人がいたら、お賽銭箱まで辿り着けないんじゃないですか?」
 溜め息と共に沖田が言い、それに土方が反応する。
「んなこと言ったって、ここまで来て何にもせず帰ったら、時間を無駄にしただけになっちまうだろ」
 腕を組んで眉間に皺を寄せると、土方は人の波に割って入っていく。そのすぐ後ろに斎藤が続いた。
沖田「仕方ないなあ……」
藤堂「俺は神様に頼みたいことあるし!!」
原田「何だ平助、お前もか」
永倉「力になってくれるかは知らねえが、頼んで悪いことはねえだろ」
山南「ふふふ、神様に頼るのも結構ですが、努力を怠ってはなりませんよ」
 口々に言いながら、みんな後に続いて進んで行く。そう、みんな同じ、一つの願いを抱えて。










(今年こそ斎藤を落とせますように!!)





「副長、何と願い事を?」
 斎藤の問いに、土方はギクッと肩を竦めて、硬直しながら視線だけを泳がせる。
「……い、いや……こういう願い事ってのは、人に言うと叶わなくなっちまうんじゃねえか?」
 斎藤を落とせますように、などとは口が裂けても言えず、苦し紛れに適当なことを言うと、斎藤は納得したように頷いた。

「……神様は誰の願いを叶えてくれるんだろうね……」
 帰り道、沖田が口元に笑みを称えながら、ふと小さく漏らした。
「ん? 何か言ったか?」
 隣にいた永倉が聞き取れずに問いかけたが、沖田は首を軽く左右に振って「何でもないよ」と返した。
 空高く登った太陽が優しく温かく、京の町を照らしていた。

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あきゅろす。
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