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ポケットモンスター
越えられぬ壁
2009年、2月13日




ひとつの物語が終わりを告げた。





少年は意気込んでいた。


未だ数少ないであろう先人達へと肩を並べる為、前へ進み続けていた。




以前、少年の冒険はここで終わりを遂げた。



そして、思い当たる改善策を手に再びこの場所に帰ってきたのである。




少年は意気込んでいた。


今度こそ、新たな冒険がその先にあることを信じていた。


高くそびえ立つそれは、近くの海辺から運ばれる潮風がもたらす冷気とは、また違った冷たさを放っていた。



ポケモンタワー。
ポケモン達が永久に眠る、霊園。


そこから感じる冒険者としての勘が、少年の足を霊園へと向かわせるのだ。




静まりかえる館内。

外で感じた冷気が、静けさと共に一層強く押し寄せ、時折呻き声の様な、甲高いかすれた声が聞こえてくる。




「イッ… ショ…ニ ノロ… ワレ…」




!!




目前に不意に現れた人影が、少年に襲いかかってきた。


定まっていない視線と奇怪な動きが、ただ事ではないことを物語っている。



人影の背後にポケモンらしき姿を確認した少年は、咄嗟に手持ちのモンスターボールを投げつける。


ヤリコミ「行け!コイキング!」



ここ半年間、冒険を共にしてきた相棒であり、唯一の手持ちポケモン。



対峙したのは、人間に取りついていたポケモン、ゴースであった。




奴にノーマルタイプの技が効かないのは分かっていた。


しかし、コイキングは唯一の攻撃は「たいあたり」しかない。



しかし、切り札はあった。

全ての技を出しきった時にのみ出せる、あまり解明されていない謎の技「悪あがき」。




それが当たるかどうか。



少年の冒険は、それひとつに託されていた。



緊張した声で、少年は勇気を振り絞り技を宣言した。



「コイキング、悪あがきだ!」




















辺りが真っ暗になった。






気付くと少年はポケモンセンターにの前に立っていた。







ひとつの希望が





システムの枠に弾かれ











少年の





小さな冒険が





終わりを





告げた。





fin.

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