現れる強敵
-その夜-
蓮にPWを解いてもらった父さんのPC。
それを弄くり回した数時間後…が、今に至る。
PCのやり過ぎで目も痛くなってきて自室に戻った。
私は何百冊ある内の漫画から適当に1冊選びベッドの上で読む。
蓮は何か私の携帯と交信してる(交信…?)
その後もゴロゴログタグダ、妄想に浸る。
そのうちにデジタル時計が示すのは22:14
そろそろ親が帰ってる時間かな…
と思えばインターホンが聞こえる。
1人娘を夜中まで放置する親が帰ってきたぞ。
下から、ガチャリとドアを開ける音がした。
「ただいまー」
「今帰ったわよ明ー」
聞こえるのは帰宅の挨拶が、2つ?
ああ、母さんと父さんが同時に帰ってきた。
駅前辺りででも出会したのかな。
下まで行くのが面倒なので両親をシカト。
最近は真面目に親がムカつくのだ。
娘を1人きりにして何の心配もしない親だから。
私が悶々してるとベッドの横で座る蓮が不意に言う。
あれ?オカルティックな交信は終わったのか?
「僕、やはり親御様に挨拶すべきですか?」
「いやいや、バレたら逆に不味いよ」
「そうですよね…」
そして蓮はまた携帯と交信を始めた。
第一交信って何?何だか胡散臭いよ。
まあこれが蓮のPCらしさなのかな…
私は苦笑を浮かべて再び漫画へと視線を移した。
「め〜い、ちゅわーん〜!」
ん?何これ幻聴?何か気味悪い声が聞こえる。
同時にドタドタ、と慌ただしく階段をかけ上る音。
は?まさか父さん?いやいや……え?
蓮が如何わしく眉間に皺を寄せる。
私も「何の騒ぎだ」と自室のドアへ視線を移した。
それと同じタイミングに勢いよく開くドア
…に、とても不快な人物が現れる。
「めいちゃーん!パパ、ケーキ買ってきたよーっ!」
ドアから現れたのは(キモい位)笑顔の父さん。
その片手には確かに小さいケーキの箱があった。
突然の出来事に目を丸くする蓮と私。
暫く沈黙の中、父さんの視線は蓮に移る。
言葉を無くした様に口をパクパクさせる父さん。
蓮は父さんに向けてニヤリと笑い、頭を下げる。
自分自身、血の気が引くのが分かった。
ちょ、えええええ?!ヤバいこれ真面目にヤバい。
蓮を隠してた事がバレちまったアアアア!!!1
「だだだ誰だこの男は?!パパに内緒で彼氏?!」
「ちょ、違うよ父さん!つか声大きすぎ!」
「言い訳なんて聞きません、ちょっとママー!」
そのまま慌ただしく母さんを呼び出す父さん。
「はーい」と母さんの声と階段を上る音が聞こえる。
相変わらず本当に、心からウザい父親だ。
外見は真面目系で容姿は良い方だが中身は正反対。
何というか…親バカ?キモい。
私が肩を落として溜め息を吐くと母さんが来る。
母さんは美人、その割に中身は叔母さん臭い。
これからこの2人に蓮について怒鳴られると思うと…
と自然と身体が震えた、そしてまた大きく溜め息。
「ママ、明ちゃん男連れ込んでる」
「父さんは黙れ。母さん、これには事情が…」
「もう、『パパ』って呼んでよ!」
「リーブ21使用してる人に発言権は無い」
「酷いよ明ちゃん!気にしてるのに!」
「レンちゃん…?」
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