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PCと仲直り

「あ…」
 
 
 
自室に置かれるデスクトップ型PCの前で呟く。
そうだった、私はすっかり忘れていた様だ。
蓮として実体化したからPCの電源が点かない。
 
 
 
 
「死、ぬ…」
 
 
 
最早私はネット中毒、依存性が高い。
携帯のネットは範囲が狭いから困る。
父さんのPCはPWがかかって出来ない。
 
 
PCを弄れないのは私にとっては地獄だ。
ああ死にそう!誰か私にネット環境を!


「携帯で我慢、する、か…」
 
 
 
スクールバックに忍ばせていた携帯を開く。
miniSDは4GB、データボックスに溢れるキャラ画像。
 
 
携帯のネットへ接続する為のボタンに触れる。
画面に現れるネットサーバーの文字、ニュース。
 
 
 
「携帯だと小さくて打ち辛いなあ」
 
 
 
とか、ぼそぼそと唇を動かす。
別に蓮への嫌味等では無い、純粋に。

蓮、何処に行ったんだろ?
さっきから姿が見られないけど…
 
 
チラチラと視線を動かし、蓮が居ないか確認。
さっきは私も言い過ぎたから、拗ねてるのかな。
つか外出されちゃ困るし(誰かに弄られたら嫌だ)
 
すると背後のドアが音をたて、蓮が現れた。
 
 
 
 
「あ、蓮。何処行ってたの?」
「ご機嫌は直られたのですか?」
 
 
 
おもむろに私が言うと蓮は無表情で言う。
お、怒ってんの?つかPCも怒るの?え?



「…怒ってる?」
「プログラムです」
「い、意味分からん…」
 
 
 
私は言い告げると回転椅子をぐるりと回す。
すると、自然に蓮に背を向ける形になる訳だ。
 
 
暫くカチカチと携帯で文字を打つ音が響いた。
 
 
 
「PC、使います?」
「ゔわあ!!」
 
 
いきなり回転椅子を蓮によって動かされる。
つか顔近いって!何か目があって緊張する。

第一PC使うか、って何よ?


「どうやってPC使うの?」
「お父様のPCのPWを解きます」
「…まじで?」






「んで、どうやってPWを解くと?」
 
 
 
父さんの部屋に忍び込む蓮と私。
父さんの部屋はシックで綺麗だ。
アダルト本なんて目にもつかない。
 
 
 
私と蓮、2人並んで父さんのPCの前へ。
そして父さんの最新型のPCを起動させる。
モニターに現れるのはPWを求むポップアップ。
 
 
 
 
「USBコード、在りますか?」
「在るけどどうすんの?ほれっ」
 
 
 
USBコードを求む蓮にUSBコードを渡す。
一体これを何に使うというのだ?
 
 
 
「いち、USBコードをPCに差します」
「うんうん」
 
 
 
説明的に言う蓮は言葉通りUSB端末をPCに差す。
 
まさか…?これを自分と繋げるつもりなのか?
と言っても蓮の何処にUSB端末が在るんだろう。
 
 
 
「に、それとは反対側の端末を咥えま…ふ」
「…え?……いやいやいや待て待て待て」
 
 
 
そう言って反対側のUSB端末を口に咥える蓮。
そのお陰で語尾が崩れる。
 
 
 
正直に言いたい、お前馬鹿だろ?
どうしたらそんな発想が出るんだ?
 
つかUSB端末汚れるんじゃね?防水なの?
 
 
 
「お前は馬鹿だ、そして咥えるな、汚れる」
「ほんな訳ないてふ、たひたい汚れまへん!」
 
 
 
何だコイツ、一体何語を喋っているんだ。
多分『そんな訳無いです、大体汚れません!』と言ってる。
あれ?何で私、普通に翻訳してんの?え?
 
 
 
「うわ、変なの…」
「ひふかにひなはい!」
 
 
 
私の言葉にキレたのか口調が荒くなる蓮。
いや汚れるだろ?キスした時、口内濡れてたし。
まあPCとやらが口内濡れてるのも可笑しいけど。

いや、PCがUSB端末咥える設定も萌(略)
 
 
 
暫くの沈黙の中、蓮は瞳を閉じて何かをやる。
私はそれを横目で確認、やっぱ睫毛長い。
 
…とか思ってると蓮がパチリと瞳を開く。
私を見てにこりと笑う蓮、萌えた。


何気に父さんのPCへ視線を向ける。
……!…PWが 解 け て い る !
 
 
 
「うおおおお!まじで?!超すげえ!」
「ふふ、僕を褒めて下さい」
 
 
 
瞳を閉じて可愛げに蓮が笑う。
こいつ…出来るな!
 
 
 
「はいはい、どうも有り難う」
 
 
 
ぐしゃり、と蓮の整った髪を撫でてやる。
私の行動に蓮はまた1つ笑顔を浮かべる。
何だか可笑しな光景、でも蓮は可愛い。
 
 
うん、家に置いて良かった。


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