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嫌いは自分

暗い、何処だろう此処は?
ああ忘れていた、そうだった。
 
 
 
「ホント見てるだけで腹立つ。死 ねよ」
「ちょ、それは言い過ぎ〜!そうでもないか!」
 
 
 
これは何時も通り、予定の内だ。
ストレス解消だかで私は虐めを受ける。
何のメリットも無い、馬鹿みたいだ。
 
 
 
寄って集って私に集中する暴言。
確か此処は、中学の校舎裏だったかな。
 
 
 
「つか明ってダサ過ぎ、髪後ろで1つ結びとか」
「あー、ウチも同感!眼鏡もキモくね?」



女子を率いるリーダー的存在の女。
確か名前を麻衣子(maiko)といったかな。
 
 
名前は地味なのに外見は派手。
ギャップなのに萌えやしない。
 
 
 
その麻衣子の周りに集る3人程の女子共。
私に浴びせられる酷い暴言の数々。
あああああ、不愉快だ、馬鹿みたい。
 
 
 
麻衣子の周りの女子だって馬鹿だろ?
"麻衣子に逆らえば虐めの的は自分に変わる"
とでも思っているんだろう。
 
 
 
変なの。絶対に可笑しい。



「つぅか明みたいなブス女、彼氏出来ないんじゃね」
「じゃあキスもえっちも一生出来ないんだろうねえ!」
「カワイソー。ま、明の事だし?同情はしないから」
 
 
 
心底腹が立つ、じゃあPCと同居中の私は勝ち組?
PC、それも男の子の奴ね。
 
 
…と言えば頭が可笑しいと思われる。
余計に煽れば私に負が増えるだけだ。
此処は大人した方が正解なんだ。
 
 
 
あの精神年齢の低い女共の、気が済むまで。


こんな生活何時まで続くんだろう。
蓮が現れたのは、私を慰める為なのかな。







「………」
 
 
ガチャリと音を立てる自宅のドア。
帰宅の挨拶は言わない、不機嫌なのだ。
第一、この広い家に私1人しか居ない。
 
 
 
あ、PCが居たっけ。
 
 
 
今日は無駄に暴力を受けた様だ。
昨日は暴力なんか受けなかったのに。
膝と右腕が痛い、擦り傷だった。
 

理不尽だ、理不尽、理不尽だ、理不尽。
これはリアルリンチでは?
二次元の設定なら面白いのにね。



階段をかけ降りる音が耳を抜けた。
ああ、例のPC、蓮かな。
今更だけど歩けるのは凄い。
 
 
 
 
「お帰りなさい、ご主人」
「うん」
「…どうしたんです?」
「別に、蓮には関係無い」
 
 
 
笑顔で私を迎えた蓮の言葉をさらりと流す。
私の方が鬼畜なのかも、蓮が可哀想かな。
でも、今はどうも明るくはなれなかった。

すると蓮はムっと眉間に皺を寄せ、言う。



「僕は貴方を待って差し上げたんです、その口の聞き方は無いでしょう?」
「…っうるさいなあ」
 
 
 
私の気分を更に悪くする蓮の言葉。
イラついたので怒りを含んで私は言う。
 
 
 
 
「すみません…」
 
蓮の表情は、見えない。


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