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挨拶は私宛

そして後は彼、"蓮"との生活が始まった。
とは言ってもまだ1日しか経ってないけど。
 
 
 
 
―その翌日。
私は変な感覚に惑わされて目が覚めた。
…変な感覚……?
 
 
瞼の上が明るい。
もう朝の様だった。
 
 
 
(ん…何か身体…重いぞ)
 
 
 
身体が重い?とは何の事だ。
ベッドで横になったまま考えた。
何かが私の上に股がって(?)いる。



何かって何だよ。
金縛りの一種か?
 
 
 
金縛りとはいえもう朝だ。
身仕度をして面倒だが学校に行かなくては。
…等々、色んな事を頭に浮かべて悶々。
 
 
 
その時だった。
 
 
 
(……ん?)
 
 
 
"何か"がふにゃりと唇に重なる。
マシュマロみたいな…一体何だ?
まさか、これはキスっつー物では?
 
色んな角度から唇と思われる物が重なる。
マシュマロみたいな…一体何だ?
まさか、これはキスっつー物では?
 
色んな角度から唇と思われる物が重なる。
時折、ちぅ、と唇を吸われたりと…
 
 
 
うお?!何か口ん中入ってきたぞ!
こここれはディープキスでは?!
 
 
 
…明よ、冷静になれ
と、自分に暗示をかけた。
 
 
 
つか誰?溜まりまくってる父さん?まさか。
瞼を開けば誰だか分かる。
しかし、瞼を開くのが何故か怖い。



だが瞼を開かないと学校には行けない。
瞼をゆっくり持ち上げると同時に唇に重なる何かも融けた。
 
 
 
 
「おはよう御座います、ご主人」
「………………」




ぱちり、と瞼を開いて目に入るのは蓮の姿。
耳に届くのは低い声で囁く彼の目覚めの挨拶。
ニヤリと笑う蓮、私の上に股がる蓮……ん?
 
 
 
「PCも発情するのか、私相手に」
「嫌ですねぇ、そうじゃありませんよ」
 
 
 
じぁあ何でお前は今、私にキスをした。
PCのくせに上手いんじゃないか?え?
まあ悪い気はしない、咎めるのは止そう。
 
 
 
「ご主人がキスで起こすのが理想、と言ってたんですよ?」
「誰が何処で何故そんな事言ったのか」
「ご主人がPCのモニターの前で、ですよ」
「………」



何だコイツ、可愛くないぞ。
つか早く支度しなきゃなあ…
学校遅れる、憂鬱だ。
 
 
 
蓮を横目にパタパタと家の階段を降りる。
リビングに向かうが親の姿は見られない。
母、父共に出勤したんであろう。
 
 
朝食は適当に食べ、
顔を洗い歯磨きをし、
だっさい制服を着て、
玄関に向かう、
 
 
 
「んじゃ、私学校行くから」
「学校?…ああ、行ってらっしゃい」
 
 
 
にこりと笑う彼、やっぱ可愛いかも。
昨日知り合ったばかりの男(というかPC)に
目覚めの挨拶に出掛けの挨拶は新鮮だ。
 
 
 
後ろ手に手を振り重いドアを開けた。
今日もスクールバックは重かった。


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