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事の始まり

「誰って…貴方のPCですよ」
「………」
 
 
 
長い沈黙。
 
 
 
「は?待て待て、冷静に冷静に落ち着け私!」
「事実ですよ」
 
 
 
淡々と喋る彼はドアの前から歩き、私の横に立つ。
此方を見てニヤリと笑う彼はどう見ても人間。
(その上カッコいい)
 
 
 
虐めのストレスか、これは幻影に違いない。
第一、人間がいきなり現れるのも可笑しい。
 
「貴方のPC」とか理解不能だよ本当に。
 
 
 
 
私はヨロヨロと自室のベッドに腰掛かる。
うん、そうだ、寝よう!
 
寝れば幻影も見えなくなるだろう。
そうだ、私は疲れていたのだ。
 
 
すると謎の男までひょこひょこついてきた。
ぽふ、と彼は私の隣に座った。




「あ、あのねー…」
「ふふ、貴方は面白いんですね」
 
 
 
私を見てヘラヘラ笑う彼。
何か…こいつ可愛いかもしれない。
 
 
 
よく漫画にいる鬼畜敬語キャラっぽい、
けれど笑顔が妙に可愛いのは何故だ。
 
 
ギャップMOEだ!
 
 
 
 
漫画でよくあるよね。
ドラ○もんとかその他。
 
突然凄い奴が家に居座る様になる。
ああ、ついに私はその仲間入り!
話についていける!ヲタ女子で良かった!



こいつカッコ可愛いし置いてやっても良いかな
…なんて思ってみる。
ちらりと横を見ると、彼は笑い返してきた。
 
うん、良い玩具になりそうだ。
 
 
 
 
いやしかし…
 
「結局…貴方は誰なの?」
「だから、貴方のPCです」
 
 
 
納得いかないぜ。
 
 
 
「そちらに電源の落ちたPCがあるでしょう?」
「…あ、うん」
壊れたPCを指差す彼。
だからどうしたというのだ。
まさか!こいつがPC壊したとか!
 
 
 
「"あれ"が僕なんです」
「ああ、そうだったんだー」
「そうなんですよー、ふふふ」
「そうだねーあははははははは」
 
「…って違うわ!」
 
 
 
思わずノリツッこみ。
「あれが僕」…だと…?(
 
流石にファンタジっく過ぎだ。
やっぱ夢なのかな、と頬をつねる。
 
痛い。



何?だからPCの電源が落ちたのか?
だったらさっさと直せバーロー。
 
 
 
「じゃ、大人しく帰ってくれ」
「え?ちょっ…無理ですよ」
「はあ?もう5時になるから早くして」
 
 
 
そう、絵チャの約束をしているのだ。
遅れたら今後のネッ友関係に皹が入る。
 
なるべく早めに事を終わらしたい。
 
 
 
そうすると彼は困った様に眉間に皺を寄せた。
そして唇を薄く開いて言葉を吐く。
 
 
 
「あ、貴方がPCを買い替えるというから…」


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