[携帯モード] [URL送信]
いじめっ子

「土下座の仕方が成ってないですが…良いでしょう」
「よ、よっしゃあッ!」
「何言ってるんです、まだ謝ってもないしょう」
「……え?」
「早くして下さい、僕等は貴女方と違って時間が無いんです」
「う、うん…」
 
 
 
時間が無い、とはさっきも麻衣子達が私に向けて言ってたな。
本当に嫌味が上手らしい、良い意味で。
 
 
ケバいギャル気取りで有名の麻衣子が恐れている。
最早、その無様な格好はあの麻衣子とは思えない。
これぐらい私への虐め分で相応だが…やりすぎじゃない?



「…何て、言えば良いの」
「そうですねえ…」
「……」
「『今まで虐めて申し訳ありませんでした』」
「ええー…」
「『私は今後一切、澄谷明を虐めないと誓います』とこんな感じに」
「…………」
「帰りましょうか」
「い、言う!言うし!」
 
 
 
蓮、ちょっとやりすぎじゃね?
そんなに強要する事無いのに、無理すんな。
まあ無理はしてなさそうだけどね。
 
何だよPCのくせに…本当にプログラムなのか?
けど、私の為に必死になってくれるのは嬉しい。
 
もう麻衣子は立ち直れないだろうなあ。
前方の女子達は…写メか何かを見せあってる。
 
 
そして麻衣子は顔を上げて口をパクパクする。
 
 
 
「今まで…虐めて申し訳ありません、でした」
「ちゃんと澄谷さんの目を見て言いなさい」
「…アタシは今後一切、澄谷明を虐めないと…誓います!」
 
 
 
吹き出しそうになった。
さっきで私に愚痴ばかり漏らしてた奴が…
私の前で土下座をして謝罪している!
今の地面は冷たいだろうに、無様だなあ。



愉快だ、何だこれ?夢か?
蓮、よくここまでやってくれたな。
その蓮とやらはムービーを撮り終えて麻衣子を見ている。
 
…その表情からまだ終わらないと悟った。
一体これから何を仕出かすのかゾクゾクした。
 
 
 
「よく言えました」
「まじッ?!あんな事した甲斐あったー!」
「…何言ってるんですか?」
「え、付き合ってくれるんでしょ?」
「馬鹿なのは貴女です、考えが甘いですよ」
「……は?」
 
 
 
さらり、と蓮は麻衣子の強要を受け流した。
まさかこいつ…最初から嵌めるつもりだったのか!


[前へ*][#次へ]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!