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現れたのは

「あー、やっぱ澄谷ジャン」
「まじだ〜!今日も超キモくね?」
 
「っえ…?」
 
 
 
背後から聞こえたのは…私を虐める女子の声。
多分、この様子だと麻衣子もこの中に居る。
平和な筈の土曜日にも出会すなんて…最悪だ。
 
一体これからどうすれば良い。
大人しく面を貸す?蓮と逃げる?
 
 
 
「…彼女達は一体、誰でしょうか」
「さっきも話してやったでしょ」
「…まさか、女だったんですか?」
 
 
 
私が不安に顔を染めると蓮がボソリ、と喋りかける。
こういう状況で小声で話すなんて、PCも空気読むのか。
 
 
私が説明してやれば蓮は驚いた様に言った。
「女だったのか」って…男子には虐められ無いよ。
だって、私は麻衣子達だけに虐められてんだから。
 
 
 
取り敢えず、これからどうすれば良い?
背中に奴等の視線が痛い、来なきゃ良かった。
無言で立ち去るべきか、でも逃げるのは嫌だ。
 
私は逃げる程、弱くないと思うから。



「オイ、何か言ってみろよブすみや」
「ブ澄谷って〜!何ソレ超ピッタリ!」
「アタシ等お前みたいに暇ないの、何か言ってみ?」
「それ以上言っちゃダメ、怖くてお漏らししちゃうから!」
「お漏らしって!中学生にもなって恥ずかしいでちゅね〜」
 
 
 
降りかかる数々の暴言。
 
よくあんな恥ずかしい事言えるな。
恥ずかしいのはお前等の方でしょう?
中学生にもなって幼稚園児みたいな虐めして。


弱くない、とか抜かしてたけど、やはり帰るべきだ。
これ以上、蓮にも不快な思いはさせたくない。
 
長い事外に居れなくてごめんね、蓮。
 
 
 
「ね、蓮。帰ろう?」
「いえ…復讐、しましょうか」
「……は?」
 
 
 
先程まで穏やかだった蓮の表情が変わる。
復讐…とは何の事だろうか?
 
ふと、さっきの蓮の言葉を思い出す。
 
 
 
「つーか、澄谷の横の奴ってダレ?」
「弟とかじゃねェ?明の弟なんて超哀れー!」
「ま、ブスで彼氏も出来ない明の方が哀れだろ〜」
 
 
 
ああああ、暴言はまだ続いている。
後ろで愉快そうな高笑いが聞こえる。
不愉快だ不愉快だ、早く帰ろう、蓮。
 
 
 
「蓮、早く帰…」
 
 
私が「帰ろう」と続ける前に蓮は後ろを向く。
つまり、麻衣子達と対立する形になる訳だ。
 
バカ蓮、蓮まで傷付くのは嫌なのに。
 
 
 
不意に、蓮は唇を開いた。

「僕は澄谷さんの゙彼氏゙です」


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あきゅろす。
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