始めて外出 -翌日- 今日は土曜日、とても平和な土曜日。 学校なんて所に行く必要は全く無いのである。 部活も入ってないので今日はゴロゴロしよう。 と、私はベッドの布団に潜る。 蓮はベッドの横で座ったまま眠っていた。 何気にPCも眠るのか…と私は笑みを浮かべる。 不意に、布団の中で携帯を覗いてみた。 「11時、か…暇だし本屋でも行くかな」 「僕も連れてって下さいっ!」 私がぼんやり言うと聞こえる蓮の声。 いきなり何を言う、もっと静かにしろ。 という視線を蓮に送った。 第一「連れてけ」とはどういう事だ? お前さんと一緒に本屋へ?笑わせるな。 「嫌だ無理、PCと歩くなんてめんどい」 「僕だって外へ出てみたいんです」 「ええー…そう言われても」 「部屋の風景は飽きました」 蓮がやけに必死に言う物で躊躇する。 確かに、PCなら同じ場所から同じ風景しか見れない。 一種の束縛、それはそれで辛いよね。 せっかく人型になれた訳だし… 「うん、まあ良いんじゃない?」 「本当ですか?」 「本当、本当ですよ全く」 「大好きですご主人!」 蓮はそう言ってベッドに居る私を抱き寄せる。 まあ何だ、私って色々とラッキーなのかもね。 というか「ご主人」呼びは直らないのか? 様々な考えが頭に浮かんでいる。 取り敢えず、そうと決まれば行く支度だ。 蓮は最初から結構お洒落な格好してるからこのままで。 PCなんだから服なんて汚れないだろうし。 「私支度するから、蓮は下で待ってて」 「はい、分かりました」 ご機嫌な様子で蓮は部屋を出ていった。 蓮が喜ぶならそれで良いかな、なんてね。 * 「…………」 「何、じろじろ見ないでくんない?」 「もっと可愛らしい格好したらどうです?」 「スクラップにするぞ」 「…元が可愛いのに勿体無いです」 早速、蓮と2人揃って外に出た。 いちいち私の服装に突っ込む蓮。 というか何?本屋行くだけだろ。 本屋行くだけで派手な格好しろと。 そーですかそーですか、と蓮の発言を無視。 可愛いとか笑えん冗談は止せ、何も出ないから。 蓮と会話を繰り返すと一通りの多い場所に出る。 …と、同時に何か多くの視線を感じた。 一体何だというのだ?と周りを確認。 どうやら女子からの視線の模様。 その女子達の視線の先は…蓮。 蓮を指さして興奮する女子もチラホラ。 「ふふ、皆が僕を見てますよ、愉快です」 「銀髪は珍しいしね、白髪だと思われてんじゃね?」 私が嫌味を言ってやると蓮は眉間に皺を寄せた。 つか銀髪以前に蓮みたいな美形は余り居ないし。 最近の男子は殆んどチャラい系だから困る、とか思ったりね。 [前へ*][#次へ] |