[携帯モード] [URL送信]
始めて外出

-翌日-
 
 
今日は土曜日、とても平和な土曜日。
学校なんて所に行く必要は全く無いのである。
部活も入ってないので今日はゴロゴロしよう。
 
 
 
と、私はベッドの布団に潜る。
蓮はベッドの横で座ったまま眠っていた。
何気にPCも眠るのか…と私は笑みを浮かべる。
 
 
不意に、布団の中で携帯を覗いてみた。
 
 
 
「11時、か…暇だし本屋でも行くかな」
「僕も連れてって下さいっ!」
 
 
 
私がぼんやり言うと聞こえる蓮の声。
いきなり何を言う、もっと静かにしろ。
という視線を蓮に送った。
 
 
第一「連れてけ」とはどういう事だ?
お前さんと一緒に本屋へ?笑わせるな。
 
 
 
「嫌だ無理、PCと歩くなんてめんどい」
「僕だって外へ出てみたいんです」
「ええー…そう言われても」
「部屋の風景は飽きました」
 
 
 
蓮がやけに必死に言う物で躊躇する。
確かに、PCなら同じ場所から同じ風景しか見れない。
一種の束縛、それはそれで辛いよね。
 
 
せっかく人型になれた訳だし…
 
 
 
「うん、まあ良いんじゃない?」
「本当ですか?」
「本当、本当ですよ全く」
「大好きですご主人!」
 
 
 
蓮はそう言ってベッドに居る私を抱き寄せる。
まあ何だ、私って色々とラッキーなのかもね。
というか「ご主人」呼びは直らないのか?
 
 
 
様々な考えが頭に浮かんでいる。
 
取り敢えず、そうと決まれば行く支度だ。
蓮は最初から結構お洒落な格好してるからこのままで。
PCなんだから服なんて汚れないだろうし。
 
 
 
「私支度するから、蓮は下で待ってて」
「はい、分かりました」
 
 
 
ご機嫌な様子で蓮は部屋を出ていった。
蓮が喜ぶならそれで良いかな、なんてね。





「…………」
「何、じろじろ見ないでくんない?」
「もっと可愛らしい格好したらどうです?」
「スクラップにするぞ」
「…元が可愛いのに勿体無いです」
 
 
 
早速、蓮と2人揃って外に出た。
いちいち私の服装に突っ込む蓮。
というか何?本屋行くだけだろ。
 
 
本屋行くだけで派手な格好しろと。
そーですかそーですか、と蓮の発言を無視。
可愛いとか笑えん冗談は止せ、何も出ないから。
 
 
 
 
蓮と会話を繰り返すと一通りの多い場所に出る。
…と、同時に何か多くの視線を感じた。
一体何だというのだ?と周りを確認。
 
 
どうやら女子からの視線の模様。
その女子達の視線の先は…蓮。
蓮を指さして興奮する女子もチラホラ。
 
 
 
「ふふ、皆が僕を見てますよ、愉快です」
「銀髪は珍しいしね、白髪だと思われてんじゃね?」
 
 
 
私が嫌味を言ってやると蓮は眉間に皺を寄せた。
つか銀髪以前に蓮みたいな美形は余り居ないし。
最近の男子は殆んどチャラい系だから困る、とか思ったりね。


[前へ*][#次へ]

あきゅろす。
無料HPエムペ!