これは序章
「こんにちは、僕のご主人」
「……は?」
―私のPCは男の子だった様です。
**…
「うあー…ったく今日も疲れたよ」
スクールバックを投げ出し帰宅。
ノロノロ階段を上り自室に入る。
今日も馬鹿な女子達に虐められて疲れた。
相手になるのは面倒、けど苦痛ではない。
何たって、ネットの中に友達が居るからね。
カチャリ、と眼鏡をかけ直しPCを起動。
制服…着替えんのメンド、このままでいいや。
両親は共働き。
愛猫は庭で日向ぼっこ。
…あれだ、酷く静かだ。
耳に入るのはPCの起動音だけ。
ギシッ、と机の椅子に座った。
回転式椅子、ぐるぐる回る。
「あ゙ー、眠い…でも5時から絵チャの約束してるし…」
絵チャとは絵チャットの事だよ
気になる人はググってみよう☆
*何故に説明的なのか。
ぼんやりPCの画面を眺めた。
やっぱ立ち上がるのが遅い。
そりゃ父さんの御下がりだしね。
買い替えてもらおうと決心した。
「…っお」
うとうとしてる間にPCが正常に点いた様だ。
さて、ペンタブのUSB端末を差して絵チャの準備。
―ップツン
おや?PCのようすが…
何処かで聞いたフレーズが頭に浮かぶ。
ん?何が起こったというのだ。
さっきまで明かりが点いていたPC。
さっきまで起動音をたてていたPC。
画面が暗く、音が消えた。
「え?!ちょ、待て待て待て…え?」
どうやらPCが壊れたみたいだ。
「…父さんのPC借りよう」
丁度良い、PCを買い替える口実が出来る。
大分昔の機種だ、壊れても無理は無かった。
ギシッ、とまた音をたてて椅子から立ち上がる。
ペンタブを手に持ち、くるり、後ろを向いた。
「ふふ、初めまして…では無いですよね?」
ん…?
私の目の前で静かに囁く男(多分)
私には何の見覚えも無い奴だった。
え?不法侵入者?まじか!
家中の鍵は閉めてあるというのに。
というかコイツ敬語だ、萌え。
…なんて思ってないで思考をフル回転。
冷静に、息を吸って、そして一言。
「あ、あなた…誰?」
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