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おれを嫌いになってくれ。
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ものの五分と経たないうちに片が付き、親衛隊は腹や顔を押さえながら逃げていった。
風紀委員長の容赦のなさは有名で、明日には殴られた箇所が痛み、ベッドの住人となっていることだろう。
彼らにはかわいそうだが、これは必要なことなのだ。

「過剰暴力だと訴えられないところが、風紀の強みだよね。親衛隊も探られて困る腹があるから、訴えられないし」

今回のことは、親衛隊と風間と遠野の間で処理される。教師の耳には入らないし、ましてや生徒会へも話しはいかないに違いない。

つまりはその裏で動く縁司の存在に気付くものはいないということだ。

「次はどうしようか。もっと劇的な事を仕掛けてあげないとかな」

遠野が手を差しだし、風間を立たせる。
その勢いに乗じてのことか、風間は遠野に抱きついた。
結果は上々のようだ。

今日のところはすべて見届けた。小仲の親衛隊には、明日接触しよう。

縁司は去るまえにと、もう一度二人を見下ろした。

遠野は長い前髪を掻き上げ、風間の肩に腕を回している。まだ緊張を解いていないのか、厳しい表情のままだ。

(…良い男になったよな)

慰めるように風間の肩を叩いていた遠野が、ふと迷うことなく縁司をとらえた。

「――!」

驚きのあまり縁司は顔を強張らせ、とっさに数歩後ずさる。

「なんっ…で、…」

痛いほどに脈動する心臓が、ぎゅっと苦しくなる。

目前の校舎の三階で、遠野が風間を放して走りだした。

その意図を悟った縁司も、また遠野が来るまえにと屋上をあとにした。


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