リクエスト企画
ー 01 ー
「ぁうっ…、ああっ…!」
邑史の小さな後孔へと狂暴なペニスがねじ込まれる。否応なしに涙が滲み、邑史はその屈辱に唇を噛みしめた。
(な…んで、こんな…こと、)
邑史を壁へ追いつめ、貫く松波は怒りに満ちている。
痛いほどの力で抑え込まれているため、胎内を掻きまわされるのを甘受するしかできなかった。
ことの起こりは三十分前。
帰宅する邑史が、校門前を通ったときにさかのぼる。
*****
夕方だというのに残暑のキツイこの頃は、まだ汗ばむような陽気だった。
「邑史さん」
カバンを片手に帰路へつこうとしていた邑史は、思わぬ知った声に足をとめる。
「神原 (かんばら)」
「ちーす」
そう言って垢抜けた顔で笑ってみせるのは、邑史が総長を務めるチームの幹部だ。
集まるのは主に夜で、昼間は特別な用事がなければ接点なく過ごす自分らにしてみれば、非常に珍しいことであった。
「どうした?俺の高校に来るなんて初めてだろ」
「まえに巣鴨と制服姿で会ったって聞いてね。俺も邑史さんの制服姿見たいから来ちゃった」
てへ、などという効果音が似合いそうな神原は、鮮やかな金髪にシルバーのピアス、そしてネックレスをつけている。悪そうな雰囲気を持つ彼は校内でかなりモテ、女をとっかえひっかえしていると巣鴨が以前教えてくれた。
意外なことに、巣鴨と神原は同じ高校なのである。
「来ちゃったじゃねえだろ。お前といるの見られたら、俺が変な目で見られるだろうが」
女癖の悪そうな神原と女顔のきらいのある邑史ではつりあわない。下手したら周囲からナンパされていると勘違いされそうだ。
「ひどーい、外見差別ー?」
「んな、いかにもな格好しといてなに言ってんだよ」
笑いながら彼の頭を小突くと、神原も破顔した。
チーム内で邑史へ敬語を使わない唯一の彼であるが、その思いは他の幹部たちと変わらなかった。
ひとしきり笑い合うと、人目をはばかるように神原は顔を寄せてくる。
「まえに邑史さんがケンカに巻き込んだ男、あれって邑史さんの後輩だっけ?」
小声で聞いてくるからなにかと思いきや、神原が言っているのは松波のことであろう。
あのときは高校の後輩でしかなかったが、今はそれに恋人がプラスされている。付き合いだして一ヶ月が経とうとしていた。
「そうだよ。それがどうした?」
「あのときは暗かったからわからなかったけど、けっこうかっこいいんだね」
「え?」
まるで実際に見たかのような物言いに邑史は首をひねる。
隣に並び、声をひそめていた神原が、息がかかりそうなほど詰めてきた。
「俺、あいつ嫌いだからちょっとくらい意地悪してもいいよね?」
「え…?ンっ…!?」
言い終わるやいなや、邑史は顎をとられ神原から口付けられる。
初めて合わさるその唇に、驚きを隠しきれなかった。
かすめ取るように触れる舌。
だが邑史が突き飛ばそうとするのを見計らったようにそれは離れ、神原は邑史を解放した。
「ごちそうさま。あんま俺ら幹部を放って現を抜かしてると、こういうことになるんだよ」
「は!?神原、てめえなに言って―!」
「色惚け禁止ー!」
笑いながら邑史の背後を指す神原に従い、邑史は身構えずに振り返ってしまった。
「な、」
そして頬がひきつる。
そこには顔を強ばらせた松波がいたのだった。
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