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トップシークレット
03
嵩林はクセのある黒髪に厚めの唇が艶っぽい色男だ。身長も高く、端整な顔立ちは学内一といって良いだろう。
ダントツの支持率で会長の座に就いた彼は、その端整な顔をおしげもなく歪めてみせた。

「だいたいお姫様って、それどこから聞いたんだよ」
「兄貴がこの学校にいるっていうクラスメートからだよーん」
「余計なことを」

嵩林は舌打ちし、荒々しくイスに座る。

(やっぱ、あれは嵩林にとっても汚点だったのか)

納得した、という思いで頷いた雅は、話題にされながらもやはり会話へ入ろうとしない。
自分への興味がないせいか、いまいち他人に対しても関心が持てない。
そんな雅の態度には慣れたもので、嵩林と飯垣は気にする様子もなく話しを進めた。

「副会長をお姫様抱っこするなんて、会長かっこいいじゃーん」

にやにやと面白そうに笑う飯垣の言葉に反応し、岡山が声あげる。

「お姫様抱っこ!?」

雅と嵩林を交互に見やりながら、岡山はぽかんと口を開ける。普段まともな会話もしない二人に、そんな過去があったとは思いもよらなかったのだろう。

好奇の視線が増えたことでますます不機嫌になった嵩林は、諸悪の根源である飯垣を睨んだ。

「ムダ口叩いてるヒマがあんなら、これくらいの仕事はできるよなあ?」
「うげ!」

嵩林がかかげてみせた未処理と思われる書類の束に、飯垣は顔を引きつらせる。彼は地雷を踏んだのだ。

「ほらよ。終わんなかったら今夜のセフレとのセックスタイムは諦めろよ」
「そんな殺生なあぁあー!!」

岡山を口説きながらセフレとも関係を持っていることを自白しつつ、飯垣は情けない悲鳴を響き渡らせる。
そっと視線をそらした岡山はまんまと嵩林の怒りから逃れ、生け贄となった飯垣へ合掌した。

(バカらし)

終始、傍観者であり続けた雅は溜め息を吐き、三度仕事の手を動かしたのであった。

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あきゅろす。
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