[携帯モード] [URL送信]

Brother in law
06
(訊く勇気なんてないけど…)

秋羽は曜介にも聞こえるように、溜め息を吐いた。

「夕食までだから。時間になったら、さっさと出ていってね」

きつい調子で出ていけと言っていたのに、結局は曜介がしたいようにさせてしまう。

秋羽が甘やかすとわかった上で、曜介はやっているんじゃないかと、勘ぐってしまいそうだ。
モテ男は最後には自分のしたいようにしてしまうのだ。

「夕飯一緒に食おうな。どうせ一人だろ?」
「…っ…、冗談じゃない!絶対嫌だから!」

声を高くして叫んだというのに、当の本人はどこ吹く風だ。

「良いじゃねえかよ。減るもんじゃないし」
「俺は精神がすり減るんだよ。兄さんといると目立つからっ…」

歩み寄ってなるものかと曜介を睨む。しかし、やはり曜介は平然としていて、通用しなかった。

「それくらい我慢しろ。お前、俺の弟だろ」
「弟を舎弟と勘違いしてない!?ご飯くらい一人で食べられるでしょ!」
「じゃあ、時間になったら起こせよ。おやすみ」
「兄さん!」

まさか本当に寝てしまったのだろうか。
おやすみと言ったきり、曜介は瞳を閉じてしまい動かない。

(同じ部屋に…いるだけでも嫌なのに…)

家で一緒に暮らしていたときは、父と母がいた。しかし寮生活では部屋に入ってしまえば二人きりだ。堪えられるわけがない。

少し視線をずれせば、整った顔を惜しげもなく披露する兄がいる。
かっこいいと思ってしまう自分がいて、秋羽は膝を抱えて、うなだれた。

[*前へ][次へ#]

8/68ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!