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Brother in law
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それはあながち間違っちゃいない。

「真面目ねえ…。たしかに神経質な感じはあるけど」

こんな会話はさっさと終わりにしたかった。他人が秋羽のことを好き勝手言うのは許せない。

「でも弟ちゃんて、もったいない立ち位置だよね」
「は?」

なかなか終わらない話しに、だんだん苛立ちが募ってくる。

「せっかく整った顔立ちしてるのに、曜介といると、曜介が強烈過ぎて弟ちゃんが掠れちゃうの。今日、一年の教室に行ってみて、わかったよ」
「…なにがだよ」

促したものの、その先は聞きたくなかった。

「弟ちゃんて単体で教室にいると、目立ってたから」

腹の底が熱くなるのは、まずい兆しだった。
言葉が口をついて出そうで、曜介は腹の熱さごと、息を飲み込む。

「ああ…、でも、曜介なら知ってたか」
「…生徒会の奴らが秋羽に手出そうとしたら、お前が守れよ」
「なんでえ?それはお兄ちゃんの仕事でしょう?」
「お前が秋羽を引き入れたんだろうが」
「ふふ…、人聞きが悪いなあ」

曜介が睨みを効かせようとも、黒渕は笑みを崩さなかった。そんなことで怯んでくれる相手ならば、曜介と友人関係は続いてないだろう。

「まあ…もし弟ちゃんが危ない眼に合いそうだったら、生徒会長として介入するよ。ぼくだって揉め事はごめんだから」
「…生徒会には、あの会計がいるだろ」

黒渕をトップとする生徒会は、粒揃いの美形集団だ。同性愛に慣れた、厄介な連中が集まっている。
そもそも黒渕が生徒会長という時点で、生徒会など信用できるはずがない。

黒渕は瞳を細めると、小首を傾げた。

「生徒会室に来たいなら、いつでもどうぞ。曜介は過保護なお兄ちゃんだからね」
「……」

からかうような物言いに、曜介はさらに眼付きを鋭くしたのだった。

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あきゅろす。
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