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短編
07
SIDE:透季

「へえ…一緒に来てる子と幼馴染みなんだ」
「…………」

週末の土曜日、実験の区切りをつけて透季は先週と同じ場所に来ていた。
地元でもない地域の街起こしはどうでも良いが、真理菜が行くというから透季も行くことにしたのだ。

「仲良さそうだから同じ高校なのかと思ったけど」
「同じ高校だよ。中学も…。…っていうかさ!」
「ん?」

上目に睨まれ、透季は先を促す。

「そんなこと話すための時間じゃないだろ!?なんで俺のことばっか訊いてくんだよ!この不真面目野郎!」

二回目の今回は、前回出た意見をもとにさらに深く掘り下げようということで、二人に分かれて意見をまとめているのだが、透季はまったくべつの算段だった。

(こんな話し合いしても話して満足して終わりってパターンだろ?他人の自己満足にわざわざ乗ってやることないのに…)

真理菜は違う考えなのか真面目なのか、きちんと話し合おうと言う。
そんなことをするより真理菜をより深く知るほうが絶対楽しい。

ほうっておけないというか、反応が新鮮だった。ここ一週間で何度か連絡したが、そのたびに怒られたり拗ねられたり忙しない。
まるでなつかない動物の機嫌を取っているようだったが、透季はそれが楽しかった。

(どこに住んでるんだろ。通ってる高校は?仲良くしてるのはその幼馴染みだけなのか?)

どんどん知りたくなる。こんな相手は初めてだった。

「野上は真面目だね。発表のときは俺がてきとーに言っておくのに」
「やっぱり不真面目だ!なんのために来てんだよ」

真理菜に会いたくて、だなんて言ったら、彼は怒るだろうか。

(それとも照れる?引く?軽蔑する?)

良い人間になりたいと思ったことがなかった。透季を非情だと罵る女は星の数ほどいる。

でも真理菜にだけは嫌われたくなかった。だから返事も考える。どうしたら彼の機嫌を取れるのだろう。

「わかった、真面目にやろう」
「やっとかよ。これで大学生なんて信じらんねえ」
「でも、そのまえに一つだけ」
「え?」

目を瞬く真理菜に、透季は極上の笑みを浮かべた。

「このあと、一緒に夕食どう?」

自身の欲望には抗いきれなかった。

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あきゅろす。
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